内容説明
かつてはキンジーを威嚇恫喝し、大いに恐れさせていた昔なじみのドーラン警部補も、寄る年波からか健康を害し、今は捜査の第一線から身を引いている。そんな彼が突然訪ねてきた。聞けば、かつての先輩である元刑事のステーシーが癌に冒され、余命いくばくもない。ステーシーの、そしてドーラン自身の心残りになっている事件の解決に手を貸してくれないかと言うのだ。事件は18年前、偶然にも彼ら二人が第一発見者となった他殺死体遺棄事件。郊外の石切場付近に打ち捨てられ腐乱していた、少女のものと思われた死体で、全身に多数の刺し傷が認められた。だが、多くの遺留品にもかかわらず、ついに死体の身元は判明せず、ジェーン・ドウと名付けられたまま、警察の記録書類のなかに埋もれていたのだ。退屈な日常の調査業務にうんざりしていたキンジーは、依頼を引き受ける。だが、二人の老刑事とともに遺体の発見現場に向かったキンジーは、そこで思わぬ事態に直面する…。1969年8月、サンタ・バーバラ郡で発見され、以来今日に至るまで身元不明のままという、現実のジェーン・ドウ事件にインスパイアされて執筆し、全米で大きな反響を呼んだシリーズ最新作。
著者等紹介
グラフトン,スー[グラフトン,スー][Grafton,Sue]
1940年4月24日、ケンタッキー州ルイヴィル生まれ。60年代から小説や脚本を執筆、78年に結婚したスティーヴン・ハンフリーとの共作でもTVの脚本などを多数手掛けてきた。82年に発表したキンジー・ミルホーン・シリーズ第一作『アリバイのA』で注目され、85年の『泥棒のB』でアンソニー賞とPWA賞を受賞。以後ほぼ年に一作の割合で作品を発表している
嵯峨静江[サガシズエ]
青山学院大学文学部英米文学科卒、英米文学翻訳家
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