内容説明
32世紀、「テクノコア」の消滅とともに連邦が崩壊して三百年足らず、宇宙は星間政府と結託したカトリック教会、パクスの神権政治の元に統べられていた。惑星ハイペリオン―。パクス法廷の即決裁判により冤罪のまま刑死したはずの青年ロール・エンディミオンは、とある城砦の一室で再び覚醒した。やがて傍らに傅くアンドロイドの案内のまま、そこが廃都「エンディミオン」であることを知らされた彼は、待ち受ける一人の老人に引き合わされ、その正体を知って驚愕した。その老人こそ、教会によって禁書とされた『詩篇』の実作者にしてかつてのハイペリオン巡礼の一人、詩人マーティン・サイリーナスその人だったのだ!さらに老詩人はエンディミオンに驚くべき予言を告げる。「時間の墓標」が間もなく開き、一人の少女が現われる。彼女こそが全宇宙の命運を握っているのだ―。かくして、エンディミオンは「時間の墓標」を目指し旅立っていった。全宇宙の命運を握る一人の少女、来たるべき「教える者」を迫りくるパクスの魔手から救い出すために。ヒューゴー賞、ローカス賞をはじめ数多の賞に輝く『ハイペリオン』『ハイペリオンの没落』に続き、人気作家シモンズが放つ傑作SF叙事詩、堂々の第三部。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syota
32
G1000に選ばれている『ハイペリオン』、続編の『ハイペリオンの没落』に続くシリーズ3作目。前2作の複雑、壮大さに比べると普通のアクションSFになってしまった感はあるが、とにかく面白い。宇宙を股にかけた逃走・追跡劇を、逃げる側と追う側の視点で交互に描き、長大な物語を最後まで弛緩せずに読ませてくれる。まだ謎は多々残っており、続編であるシリーズ最終巻『エンディミオンの覚醒』に期待がかかる。2018/10/06
Kajitt22
23
冒頭、惑星ハイペリオンの朝靄の湿地帯での鴨狩。ヘミングウエイばりの描写で引き込まれた。主人公ロール・エンディミオンと時の娘アイネイアーの逃走劇はSF度180%のスペースオペラ。数々の惑星を巡り訪れた最終地点はなんとフランク・ロイド・ライトの『落水荘』とは。宇宙飛翔願望は十二分に満たされました。再読。2024/12/20
Akito Yoshiue
11
四部作の後半は単行本版で。以前読んだ時よりも面白く感じる。2017/08/16
とし
8
「ハイペリオン」の続編。人類を支配したAIとの決別を決断した<崩壊>から約300年後、「ハイペリオン」の物語はすでに伝説となり、宇宙は「復活派キリスト教」の神権政治が支配し、人類はほぼ完璧な「不死」を手に入れていた。そんななか、惑星ハイペリオンの<時間の墓標>に、クローンAI<ザイブリット・キーツ>と前作の主人公の一人<レイミア>との間に生まれた運命の子・<教える者>アイネイアーが降臨する。主人公のロール・エンディミオンは、アイネイアーと共に、宇宙の歴史を「確定」するための冒険旅行に出る。超面白いです!2016/02/17
がんもどき
6
ハイペリオンから3世紀ほど後に舞台を移し、新しく主人公を立てて話が始まる。宇宙船の内部の描写や小道具の扱いが古いハリウッド映画の焼き直しみたいでやや新鮮味に欠けるがそのあたりは重要でないということだろうか。主人公たちは星から星への逃避行とそれを追いかける相手との話で描かれるが、最後によくわからない謎のキャラにピンチに追い込まれてあわやというところで追いかけていた側の心変わりで救われる。これは続きが気になる。「覚醒」へ。2022/10/14