内容説明
屍体窃盗団同士の抗争、私設学校での残忍な児童虐待など、さまざまな危難をきりぬけたジョンを待っていたのは、愛する母メアリーの死だった。しかも、貧困の底で死んでいった母の遺した手記から、自分の父と思われる人物が祖父を殺害したかもしれないことを知る。ますます深まっていく謎に懊悩しつつ、ジョンの心に渦巻いていたのは、自分たち母子を陥れた者たちにたいする怒りだった。誰一人信用できる者もないまま、五つの旧家にかかわる莫大な遺産相続と、五輪の薔薇をかたどった五点図形をめぐる謎の解明にむけ、さらなる冒険に身を投じたジョンを、以前にもまして苛酷な試練が待ちうけていた―。立体ジグソーパズルを思わせる、知的で重層的な謎解きに加えて、19世紀ロンドンのアンダーグラウンドの息吹を現代に甦らせる、驚くほどの臨場感。大河小説、ミステリ、教養小説のすべての魅力をはらんだ大作も、いよいよ、呪われた一族の暗鬱たる過去の秘密が明らかにされる、衝撃のクライマックスへ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おふねやぎっちらこ
3
もっと解りやすく書いてもらいたい。結末の先がどうなったか知りたい。2004/04/14
sohara
2
主人公の運命が気になって、読むのを止められない。とはいえ、登場人物の多さと錯綜する相関関係ゆえ、正直、何がどうなっているのか良く分からぬまま読了。間をおかずに読み直さなければ、と思いつつ、しばらくその元気は出そうにありません。登場人物のキャラクターはディケンズの小説を彷佛とさせるも、煮え切らない結末は正に現代作家の作品。ヘンリエッタの指摘する、正義と復讐心の混同というのは、なかなか興味深いテーマでありました。2014/03/20
コブン
2
★★☆ 上巻に引き続き、騙され続ける母子にイライラ。複雑な人間関係がほぐれ、重厚な物語は終了・・・まだイライラ。2014/05/31
pico
2
どんでん返しを繰り返しつつ終焉に。薔薇の名前には劣るけど、量感たっぷりの歴史ミステリを堪能。2008/12/19
G029
1
面白い。世界名作劇場を彷彿させる作品。情け容赦無い不幸に翻弄される主人公。最後の最後まで報われず不条理感が半端ない。主人公のその後の人生に思いを馳せてしまう。