内容説明
本書で取りあげているのは、身のまわりで見かける普通の虫ばかりである。だが、読みすすむにつれて、あなたはすぐ近くに知られざる驚異の世界が広がっていることを実感するにちがいない。私たちは虫についてあまりにも知らなさすぎるのだ。自らも養蜂業を営む女性ナチュラリストが、それぞれの虫についての基礎的な事柄から専門知識にいたるまでをわかりやすく解説し、自分の体験をもとに、昆虫と楽しく付き合うコツについて愛情豊かにつづった知的冒険の博物誌。
目次
第1話 チョウの個体数調査に参加する
第2話 刺すのはヌカカかユスリカか
第3話 テントウムシの通信販売
第4話 メクラグモとあしながおじさん
第5話 ブユ撲滅作戦の成果
第6話 アフリカから来たブラヴォー・ビー
第7話 アメンボの貴重なコレクション
第8話 シミの脱皮は死にものぐるい
第9話 キリギリス、この夏の夜の洒落者
第10話 トンボのタンデム飛行は恋のさやあて
第11話 マイマイガ戦争の教訓
第12話 なぜハナアブはミツバチと同じ配色なのか
第13話 カマドウマの観察日記
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
288
著者のスー・ハベル女史はミシガン大学動物学部を卒業し、現在は養蜂業を営みつつ、科学ライターとしても活躍している。本書はエッセイのスタイルで書かれているために軽やかだが、著者はそれぞれの昆虫の専門家に会って直接話を聞いたり、調査に加わったりもしている。昆虫に関する知識も好奇心も並外れたもの。とりわけ終章のカマドウマなどは、この人があるいは世界の第一人者であるかもしれない。誰一人としてカマドウマを飼育してつぶさにその行動を記録するなどということを行っていないからである。退屈な部分もなくはないが、全体としては⇒2023/04/07
毒兎真暗ミサ【副長】
26
養蜂家、スー・ハベルによる斬新な昆虫物語。彼女は我が子のように昆虫を愛する。海外だが登場する昆虫はアメンボやキリギリスなど日本でも馴染み深い。昆虫のイラストも可愛らしく、その特性を熟知してから挑めばさらに面白さは倍増するだろう。ラストのカマドウマが産卵する章では、昔僕自身がカミキリ虫を飼育したことを思い出した。結果は無惨たるものだったが、昆虫の世界は飽きることのない讃美と驚愕の連続。この一冊はまるで魅惑の瓶詰めのようだ。代表とされる十五種の昆虫のインセクトゥムが、キラキラと輝きながら敷き詰められている。2023/06/30
mame0729
2
テントウムシ、ブユ、トンボなど身近な昆虫に関するエッセイ。緻密な観察記録を期待していたので「~だろう」「~にちがいない」などのフワフワした文章が多くすっきりしなかった。アメリカにおける昆虫と人との関わりが多少分かった点は良かったけど、全体的に退屈だった。(1997年発行)2019/07/16
ヒコ。
1
エッセイである。本書もそうなんだけど、欧米人の書いたこういう本は日記傾向が強く、日本人のそれ(例えば日高隆俊さんとか)は考察傾向が強いように思う。「私」が前に出る前者と、話題を中心とする日本人の違いなんだろうかと思ったり。あとね「新昆虫学」はいい過ぎ、先人や現役の研究者に失礼であろう2014/12/04