内容説明
わたしはなんとしても作家になりたい!創作意欲に燃える家事ロボット―キャル―が、様々な機能を付け足し、執筆内容もしだいに上達して、やがては主人の作家を凌駕する作品を書き上げたとき…作家志望のロボットの奮闘を、ブラックな笑いにつつんで見事に描きあげたロボット・シリーズの名作「キャル」。「リア王」のコンピュ・ドラマ化に成功し世界的な名声を得た演出家ウイラードのところに、ひとりの作家が訪れた。自分の作品をコンピュ・ドラマ化してほしいという。しかもひきかえに、十万グロボ・ドル相当のゴールド―黄金を支払おうというのだ!映像化を拒否するような内容の原作を、コンピュータを使っていかに立体映像化するか…息詰まるコンピュ・ドラマ作成現場を描きヒューゴー賞を受賞した「ゴールド―黄金―」。そのほか、作家志望の若者たちにSF小説作法を伝授する「SF作家になるためのヒント」、著者みずからがロボット・シリーズについて解説する「ロボット年代記」など、愉快でためになるエッセーの数々をあわせて収録した、アシモフ最後のヴァラエティ溢れるSF作品集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Aya Murakami
37
図書館で借りた本。 キャル目当てで借りました。小説創作に燃えるキャルが描く人間風刺物語はかわいい作品でした。個人的には人間を管理している技師のようなキャラは悪魔ではなく仏様のようなイメージのほうがしっくりきます。 最後に、小説への熱意はロボット三原則をも凌駕してしまうようです。2018/07/29
roughfractus02
10
作品に永遠の生を吹き込もうと黄金と引き換えにCG化を依頼する作家の欲望、AIに株式市場の過去データを記憶させて世界を牛耳ろうとする若者、地球を周回するIT管理された都市衛星の地球からの決別、火事で息子よりロボットを助ける母親の物語は、マンマシン化した人間の考え方や倫理観を示唆する。作者の死後1990年代前半に編まれた本書は、コンピュータに人間の欲望を吹き込む人間至上主義的理念がデータ至上主義に変容する世界を描く。後半エッセイでSF作家の平均寿命を語り、創作法を明らかにする著者が人間的限界を語るのが面白い。2023/08/04
カザリ
3
書評みたいなエッセイが、秀逸。小説がおもしろい作家はエッセイは3倍おもしろい。創作関連のよもやま話に勇気づけられました。とことん考え抜くことだって。2013/01/06
広中錫
2
+8 う~~ん。こんなもんか・・・。2014/04/24
ヤイ
1
「キャル」「おとうと」 ・短編とエッセイ集。 ・「神々自身」もう一度読みなおそうかな。2013/03/26