感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みも
120
アリバイのなかった被疑者に、意外な形で事件当日の目撃者が現れ起訴取り下げとなり、あろう事かこれまでの軋轢が災いし、新たに主人公の友人(前妻の父)の判事に矛先が向けられる。図らずも主人公が弁護を引き受け、かつての同僚敏腕女性検事補との対決を余儀なくされる。法廷劇のリアルさは勿論、二転三転する構成の見事さ。何よりも丹念な描写が物語の骨格を固め、作中に没入させてくれる。色香に揺れ失敗もする、人間味溢れる主人公の卓越した人物造形ゆえに、彼の奮闘を応援したくなる。事件の真相は予想もしない忌まわしく恐るべき方向へ…。2025/04/28