感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちー
5
【読友さん紹介本】童話に含まれた心理的概念を大人(特に中年期)を軸に考察された本。既存の心理童話では幼少期から青年期の肯定された成功童話、或いは失敗による教訓童話が多い中で、本作は衰退に差し掛かる中年の成功(教訓)を軸に考察されているところが面白い。どの寓話も初めて知るものばかりで、このような童話があったのか、と大変興味深く読めた。何よりも青年期の運命を変えられるといった若さゆえの万能性から一転、中年期は運命から見放される(変えられない)ことを受け止め、柔軟に考えて次世代に繋ぐことの意義を考えさせられた。2013/03/21
luther0801
4
読書会で紹介を受けた本。好きだったのは「告げ口棒(洞察とユーモア)」「賢い答え(実際的な知恵)」。2013/03/29
Arowana
3
(メモ) 『運命自体は中年の嫉妬を解決しない。むしろ、運命がもたらす悲劇的な視点―人間の手に負えない力を容認すること―が解決に役立つ。中年になって悲劇的洞察を得ることで…人は不運や過失にたいして自分を許す術を学ぶのである。(39-40頁)』 『中年の人々は抽象的な論証方法を知っていても、意識的にそれを用いないのである。なぜなら純粋な論理は、現実問題には役に立たないからだ。成熟した大人は本の知識と、人生の知恵を区別している。…若い男女は汚れのない美や絶対的な真実を追い求めるが、中年になると、たいていの人間が2013/04/01
きのたん
2
原題の「Once upon a midlife」で笑ってしまった。昔々あるところに中年がいましたとでも言うべき夢物語にあるまじき語り出し。中身は真剣に中年の危機に関する寓話をまとめて解説してある。よくもまぁこんなに集めたなと思うほど次から次へと。しかし、そう考えると昔話はハリウッドに足りない所があると教えてくれるのか。若い時よりも、努力と運が等分な位置に来ているとはいえ、未だに人類は運に対して盲人が巨象をなでるような状態ではないかな。2024/01/30
Tink
1
中高年に対して「童話」を例に処方するところが、『診療室にきた赤ずきん』に通じるところがあった。紹介されている世界じゅうの童話は知らないものばかり。生きていく知恵を解説してもらった気がする。2014/07/15
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