内容説明
黒人の少女クローディアが語る、ある友だちの悲劇―。マリゴールドの花が咲かなかった秋、クローディアの友だち、青い目にあこがれていたピコーラはみごもった。妊娠させたのはピコーラの父親。そこに至るまでの黒人社会の男たちと女たち、大人たちと子供たちの物語を、野性的な魅惑にみちた筆で描く。白人のさだめた価値観を問い直した、記念すべきデビュー作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いぼいのしし
31
初めよくわからなくて、訳者あとがきから読んだ。それでようやくそういうことなのかとちょっと理解できた。いろんな意味で読んでいて苦しかった。2022/03/19
たまきら
28
ノーベル文学賞受賞者で納得できる人は誰?と思った時、この人が思い浮かびました。モリソンの最初の作品です。身一つで自分の意志でなく強制的に移民となった人たち。欧州とは全く異なる文化で育った人たちが、その価値観で裁かれ、評価される。オバマさんの任期満了が近い中、モリソンの初期の作品に書かれた、アイデンティティを必死で模索する黒人女性の気持ち、そして教育のなさが生む悲劇に胸が痛んだ。娘ができてから読むとまたキツイ。でも、こういう言葉が人を前に進める。そう、こういう小説が、賞にふさわしいと思う。2016/10/27
なると
25
日本人で日本の中でしか生きていない為、差別についての実感があまりないので、白人による黒人の、黒人による黒人の差別の感覚に唖然とした。幸せな人は意地悪をしないというが、差別する側はそれが自然な事過ぎてる様な…一方で差別された少女は、それは自分が醜い為だと目に見える美しさを求める。美しさとはそういったものでないと著者はこの本で言おうとしたとの事だが、私は美しさうんぬんより、本文中の「わたしたちの悪夢を鎮めるために彼女を利用した。」が言わんとする事が強烈で、優越感で自分を守るという人間の残酷さが印象的だった。2015/08/05
更夜
24
作家の西加奈子さんが影響を受けたと語られていた本でもあり、英ガーディアン紙必読小説1000冊にも入っている本。この物語は「視線の物語」だと思います。時は1941年アメリカ。まだまだ人種差別が根強い頃(この小説が書かれたのが黒人解放運動の1960年代)「黒人は醜い」と決まりきっているような、あきらめているような嘆息が聞えるようです。11歳の少女ピコーラの悲劇ですが、とにかく「青い眼がほしい」と望むのは青い眼の黒猫が美しいのとは違うのです。差別の視線にずっと晒され続ける事の恐ろしさがじわじわと出て来ます。2015/09/10
こぽぞう☆
22
図書館本。白人の価値観の中で生きていくアメリカの黒人や混血の人々。特に「美」。自分を「劣ったもの」と捉えざるを得ない哀しさ。さらに黒人や混血の人々の中にも優劣がつけられる。我々日本人の中にもないか?白人至上主義などなど。2017/07/04
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