内容説明
第一次大戦さなかの1917年。オスマン・トルコ軍は、劣勢に立たされながらも、イギリス軍と激しい戦闘を繰り広げていた。そんな中、トルコ軍の軍事機密をイギリス側に流し続ける美貌のユダヤ人女性がいた。彼女の名前はルース・メンデルソン。恋人サウルの影響を受けた彼女は、イギリスがパレスチナを解放した後、そこにユダヤ人の国家を建設することを夢見ていた。だが、その活動がトルコ側に知られてしまった。ルースとその父親を捕らえたトルコ軍の司令官ムラドは、即座に二人を抹殺しようとする。しかし、軍事顧問のドイツ人、フォン・トラウプ伯爵の策略を受け入れ、ルースをその道具にすることにした。彼女をトルコのスパイにさせて、イギリス軍のエルサレム進攻作戦を探らせようというのだ。別人になりすました彼女は、イギリス軍が駐屯するカイロに密かに潜入した。アラビアのロレンス、アレンビー将軍など実在の人物を巧みに織り込んで描く、絢爛たるスパイ・サスペンス。
感想・レビュー
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Tetchy
30
第一次大戦中、トルコ軍の情報をイギリス軍に流し続けた1人の女性スパイがいた。本書はその隠れた史実を元に構成された。史実に基づいているためアラビアのロレンスやマタ・ハリなど大戦中に名を馳せた実在の人物たちが登場し、登場人物たちと絡み合う。物語の真の姿が最終章で明かされると我々日本人の尺度では計り知れない国々を跨る巨大な宗教、民族が複雑に絡み合う状況故に多くの人が翻弄され、人生を狂わされたことに暗鬱になった。主人公はそんな中のたった1人の歴史の犠牲者であり、恐らく今も同様なことが彼の国々では起きているのだ。2014/09/06
広中錫
0
+6 ちょっとご都合主義な展開が残念。久々に一人目登録 ^^;2013/12/04
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