内容説明
ペレストロイカが進むモスクワで開催された英国主催のオーディオ・フェア。出版セールスマンのランダウは、会場でソ連の女性編集者カーチャから、国内では出版できない作家の原稿だという三冊のノートを託された。持ち帰ってノートをひらいてみたランダウは驚愕した。そこには、ソ連のミサイル・システムの欠陥が暴路されていたのだ。帰国したランダウは出版社社主であるバーリーことスコット・ブレアを捜したが、酒とジャズ三昧の日々を送るバーリーの行方は杳として知れない。ついに、ノートは英国情報部に持ちこまれ、事の重大さに部内は色めきたった。謎の作家とは誰か?情報は本物なのか?ペレストロカイ時代のスパイ小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
88
ロシアがまだソ連と呼ばれていた頃の話。ゴルバチョフ書記長によって推し進められたペレストロイカの時代でイギリスの一介の出版社社主バーリーがソ連の出版社の編集者カーチャからもたらされた軍事兵器の漏洩情報に関係することで英米の諜報の世界に巻き込まれる。一般人が諜報戦に巻き込まれる物語は『リトル・ドラマー・ガール』以来だ。このバーリーは当初はカーチャのことなどの知らぬ存ぜずを通すが、一目逢うとその美しさに魅かれ、やがてお互い恋に落ちてしまうのだ。つまりこれはル・カレ版『ロシアより愛をこめて』ではないだろうか。2023/08/10
キミ兄
3
映画でジョーンコネリーが主演しているイメージがあるので、打ち消すのも面倒なのでそれを前提に読んでいる。ロマンスの要素もルカレの筆致できっちり退廃的に変貌。なかなかスピード感があっていいぞ。☆☆☆☆。2021/09/07
冬薔薇
1
モスクワのオーディオフェアで手渡されたノートにはソ連の軍事秘密が暴露されていた。ロシアハウスのネッドらによって緊急訓練された素人スパイの出版社社長バーリーはモスクワに送り込まれ、カーチャやゲーテと接触する。語り手は情報部法律顧問ハリー。丁寧な人物造形描写で緊張の導入部が展開する。2018/11/09
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