内容説明
短篇小説の名手として名高いロアルド・ダールがもつさまざまな魅力。切れ味鋭く、鮮やかで、洒落たオチ。発想の奇抜さ、面白さ。“残酷で、皮肉で、薄らつめたく、透明で、シニカルな”大人の想像の世界を、子供にも充分理解できるような平明なことばづかいで語る、ストーリー・テリングの妙。そしてダール特有の“毒”の味。本書はそんなダールの魅力を堪能できる、素敵な新作9篇を収録したファン待望の傑作短篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
空猫
30
ダール作の児童書は多々読んだ。大人向け作品は最初に読んだ訳が合わず敬遠していたが再挑戦して良かった(^^)「ヒッチハイカー」「アンブレラ・マン」「ボディボル氏」で人間臭さを笑い、「外科医」ではドタバタ喜劇とどんでん返を堪能でき、「古本屋」「王女と密猟者」「王女マメーリア」のブラックを味わうことができた。子供向け作品では味わえない毒気たっぷりなダールの世界。他も新訳が出ている様なので読んでみよう。2017/10/19
Cinejazz
7
奇想天外なスト-リ-展開に幻惑されながら満悦感が味わえるロアルド・ダールの短編9篇を一気読みでした。表題作『王女マメ-リア』の喜怒哀楽の末の悲劇のほか、『古本屋』『執事』『外科医』『王女と密猟者』など、いづれも甲乙つけがたい名品ぞろいの短編集でした。2021/04/18
星落秋風五丈原
4
心優しい17才の王女マメーリアはある朝輝くばかりの美女に変身した。周囲の人々は皆卑屈なばかりに彼女にかしづいた。彼女の心に次第に権力欲が生まれ遂には父の王位を奪おうとする。そこで何が起こったかという表題作はじめ9編の短編作品収録。2005/06/13
azimuth
2
自分の中にあったダールのイメージと違って驚かされた。すごくイギリスっぽい。わりと無国籍な印象というか、英国ユーモアとダールを結びつけたことは(『Boy』などの随筆を別にしては)なかったが、この一冊におさめられた九篇は別。とくに「ヒッチハイカー」「アンブレラ・マン」「ボティボル氏」「執事」は顕著。時代が下ってからの作品というのも関係しているのだろうか。オチとしては表題作が一番きれいかな。ダールって本当に意地悪で大好きだ。2015/05/24
あさ
2
読みやすい短編集。童話や寓話のようにすらすら読めるのにシニカル風味。表題作とアンブレラ・マンが好み。2011/04/04