内容説明
これはいまだかつて語られたことのない、想像力に富んだとてつもない物語。英国ブッカー賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
206
インド現代史を背景に した三代にわたる一族の 物語である。 サリーム・シナイが語る 祖父の時代のインドは 理解不能で、だからこそ 新鮮である。 背後に見え隠れするインド とパキスタンのせめぎあい、そしてダラダラと続く サリームの独白の果てに 露になった真実とは何 だったのか? 「真夜中」の子供たちが 意味するものは、日本人 では本当はわからないの かもしれない…上巻終盤 から何か異様な事が始まる …そんな感じがする展開だった。2015/10/18
ケイ
97
上巻前半までは、聞き手のパドマが聞くのに疲れて一時姿を消したように、ややこしい名前につっかえながら一行づつ読むこちらも投げ出そうかと思ったが、半ばからは一気に動き出す。1947年インド建国日の深夜0時から1時までにインドに生まれた1001人の「真夜中の子供達」。彼らは特殊な子供たちだった。そして語り手のサリームが生まれた時から抱える秘密は、上巻の最後において、暴かれてしまう。 そして前半では深追いされなかった宗教や民族、政党の対立が次第に表面化してきていて、不穏な空気と不幸の予感を抱えて上巻終了。 2015/10/03
扉のこちら側
80
初読。2015年1119冊め。【70-1/G1000】1947年8月15日、インド建国の日の0時から1時までに生まれた1001人の異能の「真夜中の子供達」。宗教や民族問題も内包しているのだろうが、私の知識不足で上巻だけではまだ理解ができない。「現実とは遠近法の問題である。過去から遠ざかれば遠ざかるほど、それはいっそう具体的な、真実らしいものに見えてくる。だが現在に近づくにつれ、それはどうしてもますます信じがたいものになってくるようだ。」【第6回G1000チャレンジ】2015/11/07
Willie the Wildcat
56
民族の独立・分裂の激動期。波乱万丈の一族の面々の中、出生の秘密で打ち止めとなるか?随所に垣間見る宗教の問題。加えて、”二国”で離散・集合も家族の間に隙間風。奇遇な運命を背負った主人公たち、”子供たち”。秩序を齎す天使か、それとも混沌を齎す悪魔となるか。アミナとナディル、そしてサリームとシヴァのペアも同様にどちらに転ぶのか?特殊才能の意味の解明は下巻ですね。 2018/05/26
zirou1984
33
こいつはとんでもない本だ。イギリス在住インド出身の作家、サルマン・ラシュディの自伝風小説は20世紀におけるインド・パキスタン独立の歴史と交差しながら、そこに過去の数々の文学からのパスティーシュとマジックリアリズム的要素を闇鍋にぶち込んで秘密のスパイスを大量にまぶしたかの様な、凄まじく濃厚な一代絵巻を織りなしている。インド独立の日に生まれたことで超能力を持った主人公、サリームの語りは現在と過去を交差しながら、家族/民族/政治/宗教/男女の問題を現前させていくその物語にぐいぐい引き込まれてしまう。ぶっ飛ぶよ。2013/06/15
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