感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
フリウリ
7
「この物語の操り人形たちは、すべておそかれ早かれ泣くことになる。マーフィだけは別だが。彼は操り人形ではないからだ」。マーフィは、自分の「肉体と精神と魂」が焼かれたのち、ダブリン・アベイ劇場の水洗トイレに流されることを希望する。しかし、彼の「肉体と精神と魂」が焼かれたものは、酒場で男に投げつけられ、床一面に散らばり、ゴミと一緒に掃き捨てられる。ベケットの小説に終わりを求めるのは「違う」と思いますが、この終盤の情景は忘れがたいです。82023/12/18
takeakisky
2
何一つ真っ直ぐに語られない。もってまわったり、仄めかしたり、はぐらかされたり。リズムが掴めると理解を超えた何かが見える。切なさ、おかしみ、悲しみ、美しさ、やるせなさ。論理以外は全部ある。敬遠していたけれど、ベケット、面白い。ちょっと面倒くさくなって、棋譜のところは飛ばしてしまったけれど、そのうち。2022/12/21