感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鐵太郎
22
マレー沖海戦、つまり史上初めて外洋を走る英国主力艦を日本軍航空機だけで沈めた海戦を、英国のノンフィクション作家が1977年にまとめ上げて刊行したもの。英国側の立場で一人一人の証言などを拾い上げて描いているのは、この頃の戦記ものの特徴かな。詳細な記録なのですが、ここで油断しなけりゃ、ここで不運がなけりゃ、ここで良い判断していれば俺たちは負けなかったんだなという筆致が面白い。あとがきで、だったらこっちも言ってやるとばかり翻訳者がクソミソに評しているのも笑えます。日英で爆弾や魚雷の命中数が全然違うのはご愛敬か。2021/03/27
フンフン
6
真珠湾やミッドウェイについて書かれた本は多いが、それに比べるとマレー沖海戦についての本は少ない。でも、マレー沖海戦こそは、洋上で自由航行できる高速戦艦を航空攻撃で撃沈はできないという世界の海軍の常識を決定的に覆した海戦だった。訳者は京都大工学部航空学科を出た航空技術将校だったらしいが、訳文が兵卒は下町言葉で、女性は女言葉だったり、並みの訳業専門家よりおもしろい。 2022/04/14
蟹
3
著者は緻密な取材で知られるが、ここでもイギリス側関係者に対する多数のインタビューが印象的である。あちこちで話題になるフィリップス提督の判断に対する批判も是々非々で、納得できるものである。ただ、内藤氏によるあとがきに、「船団護衛と本書のような抑止効果のみしか事としない警察海軍」などとあるのは、それこそ笑止千万な言い草で、さすが元海軍技術中尉と思わずにはいられない。2016/09/25
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