内容説明
仁木悦子はやわらかな感性と鋭い観察力、そして強い意志の人であった。4歳で脊椎カリエス発病、ベッドと車イスの生活となる。昭和32年『猫は知っていた』で衝撃的デビュー。初の女流推理作家の誕生は、戦後日本の新しい時代の到来を告げる社会的事件だった。女流作家の会や戦争で兄を失った妹の会を主宰、障害者運動においても活躍した。好奇心にあふれ、限りない優しさで周囲を勇気づけたその豊潤な生涯を、最愛の夫が語る。
目次
短い序章
出会いの章
生い立ちの章
「三重子さんごっこ」の章
水たまりの恋の章
『猫は知っていた』の章
林の中のセンターの章
メビウスの輪の章
曇のち晴の章
のんびりスタートの章
ふたたびセンターの章
霧とかがり火の章
猫と友人と旅の章
まっ赤な潮の章
おしまいの章
二人のいちばん最近の対話
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Yu。
21
‥障害と闘い、戦争の愚かしさを訴え、そして猫と夫を愛し続けた日本のアガサ・クリスティと謳われた女流作家 仁木悦子こと大井三重子との出逢いから看取るまでの数々の想い出、またそれ以前の彼女(ミッコ)の生き様も知れるという、夫であり翻訳家の後藤安彦氏によって語られる愛に溢れた一冊。 2023/10/02
harupon
17
仁木悦子さん(1928~1986)の夫である後藤安彦氏の著書です。1992年発行。仁木悦子さんは私が本好きになったきっかけの作家さんかもしれない。表紙が猫イラストだもの( ´艸`)。子どもの頃から読んでいた蔵書は傷んでしまい一旦処分。今は買い直した数冊しか残っていません。読メで読書家さんたちのレビューを見かけると、また読みたくなってしまう。今回初めて作家仁木悦子というより大井三重子さんの生涯を綴ったこの本に出会えて良かった。最後の長編「陽の翳る街」と最後の短編「聖い夜の中で」を図書館予約中。2021/12/06
竜王五代の人
4
夫が赤裸々に語る、仁木悦子こと大井三重子の幼少期から、なれそめ、そして死まで。日本のクリスティーとあだ名された仁木悦子だけど、本家ばりに実は結構エネルギッシュでドロドロ、車椅子に乗った妖女かも。それはそれで興味深いけど、そういう裏面を知ったことで小説の面白さが増すかと言えば疑問。執筆過程についてはあえて省いたとのことなので。2023/11/14
まゆき
4
仁木悦子の夫であった著者にしか描き得ない仁木悦子像。固い文章だけど女性としての仁木や活動人としての仁木が生き生きと描かれている。彼女の一生は決して気楽なものではないのに、読んだ後に不思議と「生きるって楽しいことなんだ」と思わせてくれる。それが仁木悦子の力なのかな。2010/03/10
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