内容説明
東京の大学で修士課程を終え、研究所に招かれて札幌にやってきた青年。彼が勤務する知能工学研究所は深い森のなかにあり、庭に何体ものグリフォンの彫刻があることからグリフォンズ・ガーデンと呼ばれている。そこにはその存在を公表されていないバイオ・コンピュータがあった。彼とともに東京を離れて札幌の大学院に進学した美しい恋人、彼女と暮らす札幌市内の2LDK、古い建物のなかの図書館…。「あなたの世界は完結しているのね」研究所の仲間に言われたひとことがきっかけになって、彼はそのバイオ・コンピュータのなかにひとつの世界を構築することを思いつく。そしてふた組の恋人たちの物語がはじまる…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
宇宙猫
26
★★★★★ SFマガジンでの連作の前作ということで読んだら面白かった。「自分が宇宙の中心だったら」とか考えたことある。読み終わって92年の作品だなんて驚き、古びてないなぁ。2016/08/11
ち~
23
著者が大学在学中に書いたゼミの卒業論文の一部という出自に興味を持ち読んでみた。コンピュータの研究機関に赴任することになり、恋人を伴って北海道にやってきた「ぼく」。研究機関にてバイオ素子を使ったコンピュータで作り上げた、もう1つの世界の「ぼく」と恋人。二組のカップルが紡ぎだす世界が交互に書かれる。それぞれの会話で語られる科学、コンピュータ、数字の会話は科学的で哲学的。分からないながらも不思議と魅力的で引き込まれる。2人の「ぼく」が見つめた「世界」はSF的な結末も、意外な一捻りがあって、予想以上に面白かった。2017/10/29
えも
21
昔むかし、1992年かな。図書館に入って割とすぐに読んだ。今回、同じ図書館で借りたら、その頃の「貸出期限日票」が奥付にまだ貼ってあって、一瞬の間に25年前に遡った気分▼この物語自体も(内容はすっかり忘れていたけれども)、そんな懐かしさと清冽さと切なさを湛えていたことだけは覚えていた▼今回読み直してみて、改めて切ない気持ちになる。主人公のいる世界と、彼がコンピュータの中に創造した世界が、次第にどちらがどちらか解らなくなってきて、でも双方の世界の彼女らにはどちらも存在して欲しくて▼今も…2018/07/31
かわ
7
「プラネタリウムの外側」を読んで、他の作品も読んでみたいと思い2冊目の早瀬さん。 私のおつむの容量が足りないから、理解しきれない概念も多かったけど、#PRIMARYと#DUALそれぞれの"世界"が離れているようで繋がっている感じが最高だった。 「世界の存在をうたがっているクラス1のぼくをうたがってるクラス2のぼくを、うたがっている(本文抜粋)」のように理系を拗らせて、謎の哲学にハマっている主人公「ぼく」もなんだか可笑しい笑2018/11/30
おさと
6
友人のツイートで見かけての、初読み作家さん。不思議な世界に浸れる。と、同時に様々な命題が…2018/11/07
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