出版社内容情報
ハンナは作家志望のレオに助言を仰ぎ、四人の男女が図書館で起きた事件を追う推理小説を執筆していた。だがレオは暴走を始め……
内容説明
オーストラリア在住の人気推理作家ハンナは、ボストン在住の作家志望者レオにメールで助言を仰ぎつつ、新作に取り組んでいた。作品の舞台はボストン公共図書館だ。物語は、偶然同じ閲覧机についた4人の男女が女性の悲鳴を聞く場面からはじまる。事件の調査を通して仲を深める4人だが、犯人は彼らの中に…!?レオのメールに刺激を受けるハンナだが、メールの内容は次第に不穏さを増してゆき―手に汗握るメタミステリ。
著者等紹介
ジェンティル,サラーリ[ジェンティル,サラーリ] [Gentill,Sulari]
オーストラリア在住。作家。スリランカで生まれ、ザンビアとオーストラリアで英語を学ぶ。大学卒業後弁護士として活躍したのち、専業作家となった。2010年に歴史ミステリA Few Right Thinking Menでデビュー。15年目にあたる本書は2023年エドガー賞メアリ・ヒギンズ・クラーク賞にノミネートされるなど高く評価された
不二淑子[フジヨシコ]
英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ナミのママ
71
オーストラリア在住の推理作家ハンナは、ボストン在住の作家志望者レオとメールでやりとり。助言を仰ぎながらボストン公共図書館を舞台にした小説を書いている。本作のほとんどは「作中作」だ。ハンナがどんな人物か一切わからない。この「作中作」がレオとのメールのやり取りにより変化していく。さらに「作中作」も作家が小説を書くという内容。あらゆるものがリンクしていて面白い構成。読みやすくて最後まで犯人がわからなかった。「ミステリ・イン・スリラー」とのことだが、最後にもう少しドカンとあればもっと良かったかも。2024/03/10
NAO
50
オーストラリア在住の推理作家と米国ボストンに住む作家志望ファンのレオ・ジョンソンとメールのやりとりからなるという奇抜な構成なのだが、ハンナが書いているミステリそのものもかなり奇抜で、この話だけでも十分面白い。ところが、この作品にはさらなる仕掛けがあって、作品の中で語られているある小説が伏線となっている。ハンナの物語は、いろいろと考えさせられる話だった。本当にいけ好かない人物が登場するのだが、ここまでではないにしてもこういう人物はいるのだろう。そして、キーパーソン、怖すぎる。2025/05/02
しゃお
26
ボストン在住の作家志望のレオが、オーストラリア在住の人気作推理作家ハンナへあてるメールと、ハンナがレオの助言を受けてボストン公共図書館で起きる殺人事件のミステリー賞小説という、現実と「作中作」の虚構で描かれるミステリー・イン・スリラー。作中作が大半を占められていて、若干強引かなと思わないでもないですが、うまくミスリードするように描かれていて面白い。そしてレオからハンナへのメールが徐々に妄執めいたものになりつつ、それが作中作とリンクするかのように最後の最後まで描かれているのも面白かったです。2024/05/11
み
18
作中作の作品を苦手と感じることが多いです。今作は、途中から読みやすくなりました^ ^でも、作中作は、ご都合良すぎなような。2024/05/06
練りようかん
13
あの美しい図書館が舞台で胸ときめかせたが、設定を飲み込むのに頭を使いすぐに消えた。偶然か必然か、4人が閲覧室で聞いた悲鳴は死体のものか。犯人はこの中にいる定番の疑いと隠し事、殺人事件を格好の題材にする新人作家が真相に迫るジリジリした感じを楽しんだ。しかしこれは作中作で、有名小説家の書きかけ小説にコメントする男性のメールが度々挿入。言葉の助言が改変要求にエスカレートする気持ち悪さが乗ずる展開だ。上手いのは始めから同名人物を登場させてることで、反転とは違う結末を思わせ不穏Maxの幕切れは意外と尾を引いた。2024/10/29