出版社内容情報
1973年、グラスゴー。特別房の囚人が予言した少女射殺事件の捜査に挑む刑事ハリー・マッコイは、事件の裏の巨悪に触れるが……
内容説明
1973年1月1日、刑事マッコイは囚人ネアンから、明日、とある少女が殺されると告げられる。翌日、少年が少女を撃ち殺し、自殺する事件が起こる。それはグラスゴーを揺るがす“血塗られた一月”事件の始まりだった。捜査の中でマッコイは、自分と因縁のあるダンロップ卿が事件に関係していることに気づく。何かを隠す卿は警察へ圧力をかけ、捜査を妨害し…グラスゴーの暗部を描く、傑作タータン・ノワール、ここに始動!
著者等紹介
パークス,アラン[パークス,アラン] [Parks,Alan]
1963年スコットランドの生まれ。グラスゴー大学で道徳哲学の修士号を取得。卒業後は音楽業界でミュージックビデオやアートワーク、写真撮影といった仕事に携わる。2017年に『血塗られた一月』でデビュー。第二作February’s Sonはエドガー賞最優秀ペーパーバックオリジナル部門で候補作となり、第三作Bobby March Will Live Foreverで見事同部門を受賞。また第五作May God Forgiveは2022年のスコットランドの最高の犯罪小説としてマッキルヴァニー賞を受賞した
吉野弘人[ヨシノヒロト]
山形大学人文学部経済学科卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナミのママ
76
このトゲトゲしさはすごい。1973年のスコットランド・グラスゴー。暴力、薬、退廃的な街。人の命が平等でない世界で、事件の鍵を握る大物にどこまで迫れるのか、目がはなせない。…予告殺人が起こる。被害者少女は死亡、加害者少年は自殺、予告した囚人も殺された。事件を聞いていた刑事のマッコイは施設出身で現在もダーティー。加えて彼を取り巻く人物、父のような上司マレー、田舎町出身の新米刑事ワッティー、幼なじみのギャング・クーパー、なんとも深く魅力あるキャラクター。シリーズ1作目で早くもファン!12月まで読みたい。2023/07/07
M H
38
1973年、スコットランドのグラスゴーが舞台。刑事ハリー・マッコイは特別房の囚人から殺人の予告を聞かされ、ほどなくしてその現場に居合わせることに。陰惨な殺人、清濁併せ呑まずに生きられないマッコイのある意味矛盾したキャラクターがダークな物語を呼びこむ。いくつか指摘があるように、ショーン・ダフィシリーズを思わせるがもちろん初期の暗く、陰鬱なテイストだろう。個人的には最近のほうがかわいくていいな♫これは好みで。トーンを崩さなかった結末と次作以降の評価の高さで期待が膨らむ。2023/07/28
星落秋風五丈原
37
元妻はワルの幹部の愛人で、かつて子供を失ったことから疎遠に。マッコイは時々ヤクも決めて、ギャングの親玉とも繋がりを持っているが表向き善人を装う悪には屈しない。頼れる上司、とっぽい部下にはさまれた刑事が主人公で舞台はちょっと遡り70年代のアイルランドを舞台にした月シリーズ。2023/07/28
ハスゴン
30
気になるダークヒーローが誕生した!この感じならば12月分楽しめるのかな?2024/01/30
シキモリ
29
了解の意を示す『あい』といい、否が応でもエイドリアン・マッキンティの<刑事ショーン・ダフィ>シリーズを引き合いに出さずにいられないが、今作の主人公ハリー・マッコイは優秀な警察官でありながら、自身の弱さも無様さも包み隠さず曝け出す(出される)人間味のある人物造詣であり、警察組織内を綱渡りで歩むアウトサイダーとして、その危うさが魅力。今作は上流階級の人間が関与する事件としてまずまず妥当な落としどころで、次作への繋ぎも上々ではなかろうか。しかし、関係者が容易く口を割り過ぎるのは些か興を削がれる部分だったりする。2024/02/08