出版社内容情報
先住民族の居留地で起こった麻薬密売事件に巻き込まれた甥を救うため、白人と先住民の血を引く"おれ"は巨悪に立ち向かうが――
内容説明
ローズバッド居留地に住むラコタ族のヴァージルは、卑劣な事件を起こす人間に処罰屋として正義を実行することを生業にしている。ある日、彼は居留地内でヘロインを売ろうとしている男がいるという話を聞く。このままでは多くの若者が食い物にされ、命を落としかねない。そして彼の甥がヘロインの過剰摂取で倒れてしまい…。新しい時代のヒーローを描く、ミステリ文学賞五冠を達成した傑作ハードボイルド。
著者等紹介
デイヴィッド・ヘスカ・ワンブリ・ワイデン[デイヴィッドヘスカワンブリワイデン] [David Heska Wanbli Waiden]
シチャング・ラコタ族の作家。2020年に本書『喪失の冬を刻む』で長篇デビュー。本作はアンソニー賞、マカヴィティ賞、バリー賞、レフティ賞、国際スリラー作家協会賞の新人賞を受賞。国際的に非常に高い評価を受ける。米国コロラド州デンバー在住
吉野弘人[ヨシノヒロト]
山形大学人文学部経済学科卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナミのママ
72
先住民ラコタ族が暮らす居住地、まずはその生活様式、しきたり、人間関係に目を奪われた。それを知れただけでも大満足だが主人公ヴァージルの男っぷりがまた良い。処罰屋として生計を立てている彼は居住地内でヘロイン売買の噂を聞く。食い止めるべく動き出すがそこに甥のネイサン14歳が絡んでくる。身体を張って立ち向かう男臭さにクラクラしつつ一気読み。もっと早く読めば良かった、積ん読を後悔した。【2021年・アンソニー賞、マカヴィティ賞、バリー賞、レフティ賞、国際スリラー作家協会賞、新人賞】2024/11/11
キムチ
61
スー族の酋長が記した記録~ウインターカウント。作中でヒーロー ヴァージルがWinter countと呟く。標題の冬を刻む意へ繋がって行くそれは何だろう。殆ど無知の米、先住民族の社会・日常・思想風景。作品自体はノワール色が強いバイオレンスだが個人的に社会学的背景に興味をそそられた。筆者曰く、フィクションだがヴァージルの立ち位置である処罰屋は存在するのだそうな。部族としては大きいラコダ族の居留地 ローズバッド。14歳の甥ネイサンが薬絡みで告発される。かつてヴァージルを虐めたリックと対決して行く事に。恋人マリー2022/08/23
ワッピー
37
読み友さんの感想から。ラコタの居留地で復讐代行業を営むヴァージルに元カノの父・部族評議会の議員ベンから居留地でのドラッグ取引を阻止せよと依頼が入る。迷いつつも調査を開始したヴァージルに協力を申し出る元カノ・マリー。しかし調査から戻ってきたとき、甥のネイサンはドラッグの取引容疑で逮捕されていた・・・。居留地の改革を願うマリーは解雇され、ネイサンはおとり捜査への協力を強いられ、ヴァージルは苦悩に沈む。腕っ節も頭脳すらもスペンサーに及ばないながらタフの道を選ぶ主人公に最初はイラつき、最後には応援したくなる、⇒2022/11/12
しゃお
35
居住区にてFBIにも部族警察からも見捨てられる事案に取り組む、「ラコタ族」の流れをくむ処罰屋のヴァージルが、ヘロインなど薬物に関する問題について否応なく巻き込まれていく様子が、先住民の思想や文化、そして今なお続く差別と共に描かれるハードボイルド。割と淡々と進むものの、その筆致もあって地味ながら読ませます。後半は甥の危機を助けようとする展開もあって緊迫感もありながら、やはり暴力による解決が目立つのが現実を表しているのでしょうか。その中で自身のルーツと向き合い変わっていこうとする様子に希望。ラストもきっと…。2022/08/10
himehikage
23
アメリカ合衆国のネイティブの居住区には司法アクセスがないという事実がショッキングだった。いきなりFBIに訴えるしかないなんてね。それでこの小説の主人公は、ろくな商売じゃないと思いながらも自警団というか処罰屋として生計を立てることができている。ウィットがあまりなくて終始重苦しい空気が漂うが、読んでよかったと思う。締めがいい。晴れやかだけど、何も変わらない閉塞感もあって余韻がある2022/09/22
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- 洋書
- Bonne Route