出版社内容情報
標的であるボスの妻に恋をした瞬間、殺し屋の運命の歯車は狂い始めた……クリスマス前夜のオスロを舞台に描かれる、愛と血の物語
ジョー・ネスボ[ネスボ ジョー]
著・文・その他
鈴木 恵[スズキ メグミ]
翻訳
内容説明
1977年のクリスマス前夜。殺し屋のオーラヴは麻薬組織のボスから仕事を依頼され、準備に取りかかっている。淡々と、いつも通りに始末するつもりだった。標的である、ボスの妻をひと目見るまでは…愛に翻弄された彼の選択は、敵対する組織をも巻き込んでオスロの裏社会を大きく揺るがすこととなる。ノルウェーを代表するサスペンス作家がみずからの故郷を舞台に描く、美しくも凄惨なパルプ・ノワール。
著者等紹介
ネスボ,ジョー[ネスボ,ジョー] [Nesbo,Jo]
1960年ノルウェー、オスロ生まれ。1997年に『ザ・バット 神話の殺人』でデビューし、同作で北欧ミステリの最高峰「ガラスの鍵」賞を受賞。2016年に邦訳された本作『その雪と血を』は、第8回翻訳ミステリー大賞および同年度の読者賞を受賞するなど日本でも高い評価を受けた
鈴木恵[スズキメグミ]
早稲田大学第一文学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ペグ
83
ノワールに(愛)と(死)はつきものだ。しんしんと降り積もる雪が肌に痛い。滴る血の赤との対比。主人公オーラヴはコリナに恋をし、マリアを愛した。私の中ではライアン・ゴズリング。(彼女はそれが落ちていた場所を見つめた。その雪と血を。あまりに白く、あまりに赤く、不思議なほどに美しかった。まるで王のローブのように)〜ひんやりと冷たく静かなクリスマス前夜の殺し屋の物語。2019/01/12
mii22.
75
1977年クリスマス直前のオスロは凍えるように寒く綿のような雪が舞っていた。クリスマス前夜には人恋しくなるものらしい。ボスを裏切った殺し屋のクリスマス・イブは..。200頁にも満たないシンプルなハードボイルド小説。どこが好きかと言えば、物語の終盤で殺し屋からひとりの恋する男の姿へと変わるオーラヴの全体像がくっきりと目の前に現れる瞬間、心が震えた。その雪と血の哀しくも美しい色、王様のローブのような白と赤にしびれた。2019/12/10
nuit@積読消化中
57
サクッと読んでしまったが、読み終えた後は、なんだか切ない余韻が続く。。。2023/01/23
chiseiok
52
ぼっちクリスマスにどんぴしゃのセンチメンタルストーリー。ネスボ作品、この薄さでも油断出来ないぞと構えて読みましたが、展開もシンプル登場人物も少なく思いの外さっくり読了。とは言えジョー・ネスボならではの余韻はしっかり。主人公は始末屋なので凄惨な場面も多々あるのですが、物語に漂う空気は不思議と静謐で美しく、全編に渡って延々と深々と雪が降り続けている感じ。ちょっと独特の殺し屋ファンタジー、ノワール童話、じんわり染みた。満足したけれど、ぶっちゃけこれポケミス新刊1,500円では買わないかも。下世話で済まぬ💦。 2019/12/25
のいじぃ
47
読了。ロマンティストな始末屋の顛末。パルプ・ノワール作品。とは言え、ページ数も少なく、内容もいたってシンプル。一抹の寂しさと切なさを内包させたまま終わっていく海外映画のような余韻を残す。「レ・ミゼラブル」を書き換えるような主人公のオーラヴは女性に惚れやすく、彼女たちの事情ですらロマンティックに置き換えてしまう、劇的に悲劇的に。ただ、生い立ち故か依存的にも映る。そうであって欲しいという願望。1977年という時代背景、そこに生きる人々、言葉は違えども人類はなぜ似たような環境と暴力を作り出してしまうのだろうか。2019/09/18