内容説明
人体実験同然の治療が行われる病院“アルファベット・ハウス”で精神病を装っていたのは、ブライアンとジェイムズだけではなかった。軍の財宝を着服したナチスの悪徳将校たちも、戦線から離れるため病人のふりをしていたのだ。過酷な状況に耐えるふたりだったが…。時は流れ、一九七二年。五輪を控えた戦後ドイツでかつての偽患者たちは再び大きな運命の渦へと飲み込まれる。北欧ミステリの雄が描く友情と愛憎の物語。
著者等紹介
エーズラ・オールスン,ユッシ[エーズラオールスン,ユッシ] [Adler‐Olsen,Jussi]
1950年、コペンハーゲン生まれ。10代後半から薬学や映画製作などを学び、出版業界などで働く。1985年からはコミックやコメディの研究書を執筆。その後フィクションに転じ、シリーズ第1作『特捜部Q―檻の中の女』(2007年)がベストセラーとなった。シリーズ第3作『特捜部Q―Pからのメッセージ』(2009年)で北欧ミステリ賞の最高峰である「ガラスの鍵」賞、シリーズ第4作『特捜部Q―カルテ番号64』(2010年)はデンマークの文学賞「金の月桂樹」賞を受賞した
鈴木恵[スズキメグミ]
早稲田大学第一文学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ざるこ
54
下巻は戦後およそ30年を経て登場人物たちが相見えるサスペンスフルな展開。友情ってお互いを信頼した上で成り立つもの。とても熱い言葉だけど、そこに亀裂が生じた時には嫌悪も恨みも倍増するのかもしれない。戦後、偽患者たちやブライアンが日常を取り戻してもジェイムズは囚われたままだった。狂ったやつらに狂わされた自分。魂の叫びのような独白には胸がしめつけられる。でも2人のどちらが悪いとか言えないし、どちらも悪くない。運命としか言いようがない辛いけど。ペトラの深い愛情が唯一の救い。ジェイムズの前途が穏やかであるよう願う。2021/03/09
ちえ
35
途中、復讐の場面は、そんなにうまくいかないでしょうくらいの気持ちで読んでいた。しかし何という終わり方。苦しくなる読後感。30年…ジェームズがブライアンに語る言葉には胸が詰まる。読みながら期待していたきれいな終わりなんてない。作者は人間関係の亀裂を書きたかったという解説、そして作者自身の子供時代がこの本に色濃く反映されている。途中までになっている特捜部Qをまた読みたくなった。2025/12/14
sosking
18
下巻は、上巻よりは早く読めると思います。作者が言う通り、人間関係の亀裂をテーマとして書きたかった事が、よく分かりました。しかしですよ、あの状況下でジェームズを連れて逃げ出す事はかなり不可能なことだったと思いますが、時を無駄にしたというやり場のない怒りの矛先が、逃げた相棒に向いてしまうのは、やはり西洋的だと感じました。日本人なら、耐え忍ぶ事と相互理解の美徳感から、助けてくれてありがとうを期待してしまう感じがしました。2023/04/02
ニッキー
15
やっと読み終えた。 上巻は、長かったし長くかかった。 下巻は、それに比べたら、あっという間に読み終えてしまった。下巻は、面白かった。 登場人物の名前が上巻と変わっていて、分かりづらかったが。 30年間は長かった。片方は友情を信じて、片方は裏切られたと憎しみを膨らませていた。時は戻らないと言う事か。戦争下と言う、非情な過酷な状況が全てを奪ってしまった。 友情も個人の尊厳までも。 人は環境で天使にも悪魔にもなる。 誰がそれを刷り込んだか⁈2018/11/21
Satoshi
11
前半はナチスドイツの精神病院に収納された2人のイギリス兵が偽患者に虐待されながらも脱出する構成となっている。後半は精神病院から脱出したブライアンと脱出できなかったジェームスの出会いに焦点があてられている。脱出できたものとできなかったものとで状況は変わり、過酷な運命が友情も崩壊させる。ブライアンとジェームスの境遇の差は、大地の子で実の親と会えた主人公と悲惨な境遇を送った妹の対比を思い出させられた。戦争ではよくある話であるが、ラストで少し救われた気もする。2018/09/01
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