内容説明
現場に着いたクリスが電話をすると、依頼人は死体に謝罪し、それを録音して送れと告げた。死体を始末するよう指示もしていた。拒否はできなかった。家族に危害を加えられるからだ。こうして彼らは殺人事件に巻き込まれ、さらに不可解な事件が起きる。そして、彼らを悲劇が襲う!ひたすら車を走らせる「わたし」とは誰か?女性を殺した「おまえ」の正体は?謎めいた行動をする「彼」とは?技巧を凝らした驚愕のミステリ。ドイツ推理作家協会賞受賞作。
著者等紹介
ドヴェンカー,ゾラン[ドヴェンカー,ゾラン][Drvenkar,Zoran]
1967年、クロアチア生まれ。3歳の時に一家でベルリンに移住する。学校での成績は振るわなかったが、13歳から詩を、17歳から短篇小説を書き始め、22歳で作家を育成する奨学金を得てから本格的に作家の道を歩む。児童書、脚本、詩集、ミステリと多様な作品を発表しており、邦訳にはドイツ児童文学賞を受賞した『走れ!半ズボン隊』などがある。『謝罪代行社』でドイツ推理作家協会賞も受賞
小津薫[オズカオル]
同志社女子大学英米文学科卒、ミュンヘン大学美術史学科中退、英米文学翻訳家、独文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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GaGa
37
ミステリーというよりもスリラー。トリックやフーダニッドというよりも、その罪悪を問うという、ある種文学的な結末には驚かされた。とにかく読みづらい文体ながらも、そういったラストにたどり着くとああ、なるほどなあ、と頷かせる。「謝罪代行社」という邦題もなかなかよい邦題だと思うが、読み終えてみると原題の「SORRY」の方が意味深だ。2011/08/30
もちもちかめ
32
児童虐待の話はもうウンザリ。いちいち心が張り裂けそうになる。疲れた… 友達をおいてけぼりにしてひとりだけ逃げた方の、辛く寂しいまさに地獄のような日々。こういう小説、人の痛み苦しみを事細かに描写するやつ、が量産されることの意味は、何なんだろう。世界はどこへ向かいつつあるんだろう。2017/06/28
ツバメマン★こち亀読破中
25
上巻の感想の繰り返しになりますが、人称が変わる、時制が変わる(事件の前、間、後)、そして「おまえ」「わたし」「現場にいなかった男」とは誰?話を追っていくだけで脳味噌使うわー。やがて正体は判明してくるのですが…。あーそうだったの?最初から言ってよ~。うーむ、これは何かが解決したと言えるのだろうか?タイトルから思い描いていた話とは全然違ったがこれも読書の楽しみだ!2015/04/25
たみ
21
カウントダウン破滅小説。男女4人で立ち上げた法人専門の謝罪代行業、順調に進み湖畔に家まで購入して順風満帆、そんななか依頼された家に行ってみるとそこには殺害された無残な死体が…。文章は4人それぞれの視点である三人称と「お前」の二人称、「私」の一人称プラスα、時系列も故意にズラしてあるので最初は「お前って誰だ?私って誰?今はいつ!ここはどこ!」状態。糸が解けてくると気持ちいい。この作品とは直接関係ないけど阿部サダヲさんの[謝罪の王様]という映画が見たくなりました。謝罪の感覚って国によって違うのね…2015/11/06
ダークスター
15
初読み作家さんでした。面白かったです。最初は複数の時制と視点に戸惑うが、慣れてくると、どんどん話しに引き込まれた。結末は、悲しい終り方でした。2016/10/14