内容説明
「結び目のついた紐」と「マッチ棒で作られた十字架」―奇妙な品物がリーバスのもとに届けられた。別れた妻が嫌がらせで送ってきたのか？孤独なリーバスはエジンバラの街を震撼させている少女誘拐事件の捜査にうちこむ。だが、まもなく少女は無残な絞殺体で発見された。やがて彼のもとに差出人不明の手紙が。「まだおまえはわからないのか？」…現代イギリス・ミステリの最高峰、リーバス警部シリーズ待望の第１作。
著者等紹介
ランキン，イアン［ランキン，イアン］［Ｒａｎｋｉｎ，Ｉａｎ］
１９６０年、スコットランドのファイフに生まれる。１９８７年、一匹狼の刑事ジョン・リーバスを主人公にした『紐と十字架』を発表し、その後シリーズ化。第８作『黒と青』（１９９７）で英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー賞、第１３作『甦る男』（２００１）で、アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞を受賞。現在シリーズは第１５作まで順調に書き継がれている。短篇の名手としても知られ、「動いているハーバート」（１９９６）で英国推理作家協会賞ショート・ストーリー・ダガーを受賞している
延原泰子［ノブハラヤスコ］
大阪大学大学院英文学修士課程修了、英米文学翻訳家
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
222
【原書】読み友さん推奨『黒と青』への前哨戦。まだ見ぬエジンバラの街にずっぽり入り込んで。実際の犯行よりも登場人物たちの心理描写にページを費やされたのは、シリーズ初作品ならではか。犯人に行きつくまでが少々安易な感は否めないが、『黒と青』は絶対読む。2016/11/14
yumiko
54
読友さんが楽しんでいたリーバス警部シリーズ。「黒と青」が読みたくて、一作目からスタート。エディンバラで発生した連続少女殺人事件の捜査に駆り出されるリーバス、その頃彼のもとには不審な手紙が届いていた。夫婦関係は破綻、親兄弟との折り合いも良いとは言えず、陸軍時代に受けた訓練の後遺症に今も悩む…ある意味傷だらけなリーバス。苦悩する男、よし！私好みだ！でもあとがきを読むに、どうやらシリーズ物として書き始めたのではないらしい。道理で主人公っぽさに欠けると思った。彼の魅力を知るにはもう少し読まなくてはいけない感じ。2016/09/28
星落秋風五丈原
46
冒頭で誰かが少女を誘拐する場面が出て来る。当然ながら正体は明かされない。ただ男性というだけだ。各章タイトルがジョン・リーバス刑事に送られてくるメッセージの内容を引用している。ジョン・リーバスシリーズ第一作で、日本に登場したのは「黒と青」 が先になる。「どれから読んでもらってもいい」とイアン・ランキンは述べているが、リーバス刑事の変化を感じたいならやはり第一作は読んでおくべきだ。父の後を継いでいる弟の催眠術師マイケルの方が成功者だ。但し彼の転落は早々に示唆される。2020/06/14
くたくた
44
全編通してリーバスご紹介という風情の作。陸軍から特殊空挺部隊SASに志願し、特殊任務への選抜の過程で課された過酷な訓練で精神的傷を負って軍を去った過去を持つ。心の傷には蓋をして、フラッシュバックに悩まされながらも有能な刑事として生きている。他人に心を開けない一匹狼。離婚歴があり、今は、一人娘は別れた妻と暮らし、自分は未読本と酒と煙草を友に、かつては家族で住んだフラットに一人で暮らす。かなりやさぐれているのはやむを得まい。そんなリーバスの過去をえぐるような事件が発生。狙われたのはリーバスの娘のサミーだった。2018/02/16
miyu
35
読みはじめて間もなく｢たぶんこの人が犯人だな｣と判るわけだが私はオチや結末を知っても楽しめる質だ。次々と手がかりが向こうからやってくるのになぜかリーバスはあまりに無頓着。いくら何でも気がつかなすぎだ。でもダルグリッシュ警視も今になって思えば初期は「書込み不足&影が薄い&え、終わり？( ﾟдﾟ)」というパターンが続いたのでリーバスもシリーズを読み進めれば段々面白くなるのかも。ミステリのシリーズものは主人公の経た年月を一緒に感じることができるので好きだ。しかしその人に心から入れ込めるかどうかがとても難しい。2015/06/18
