内容説明
戦争は終結に向かい、ロシアで革命が起き、そして罹患すれば死にいたるインフルエンザが流行の兆しを見せる1918年。ボストン市警察の若き巡査ダニーは、組合を結成しようとする急進グループへの潜入捜査を命じられる。同じ頃、遠く離れたオクラホマで殺人を犯してしまった黒人青年ルーサーは追手を逃れるためボストンへとやってくる。二人の青年の人生が思わぬ形で交錯する時、時代のうねりは発火点を迎えようとしていた。
著者等紹介
ルヘイン,デニス[ルヘイン,デニス][Lehane,Dennis]
アメリカ、マサチューセッツ州ドーチェスター生まれ。1994年に私立探偵パトリックとアンジーのコンビを主人公にしたデビュー作『スコッチに涙を託して』でアメリカ私立探偵作家クラブ(PWA)が贈るシェイマス賞最優秀新人賞を受賞。2001年に発表した『ミスティック・リバー』は全米ベストセラーとなり、クリント・イーストウッド監督の手により映画化された
加賀山卓朗[カガヤマタクロウ]
1962年生、東京大学法学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
23
ゆっくりだったけどやっと読めた。ルヘイン先生にハズレ無し。引き続き下巻を読む。2022/12/03
Ayah Book
18
ルヘインさんのアメリカの歴史大作。1918年のボストンが舞台。スコセッシさんの映画のようなディテールの細かさと、登場人物に暗くつきまとう影。搾取される黒人青年は、富裕層に生まれたイケメン警官は、自らの運命から逃れられるのか?下巻に大いに期待。2022/01/17
夢の中で枕濡らし
14
きっと待ち受ける「運命の日」に向かって、500ページ以上主人公のダニーとルーサーの二枚看板があっちへいったりこっちへ来たり右折左折(人生の)を繰り返し七転八倒七転び八起きの精神と肉体の紐づけで動き回るのだが、おびただしいまでの人人、人、つまりはカタカナでファーストネーム、セカンドネームの切り離したりくっついたりといったまるで高校生の恋愛騒ぎかよもや優柔不断旦那不倫おカップルの乱痴気騒ぎのように名前が揺さぶられ、それによってこちらの脳理解が遅れをとる。いつ運命の日はくるのか。後編なのだろうが、今は取れない。2024/04/16
まこ
7
上流階級の白人ダニーと、下流の黒人ルーサーの視点を交互に変えていくことで、1910年代のアメリカを映し出す。第三者的なベーブ・ルースはこの時代を象徴する人物に留まるのか、野球は黒人が白人と対等にできる部分に関わるのか。ダニーとルーサーはこのまま行くとコンビになるかもだけど。2023/01/06
薄荷飴
7
およそ100年前のアメリカを舞台にしており、当時の政治情勢や人種問題などが(おそらく)鮮明に書かれていて非常に興味深い内容でした。自分に学がないため理解できない会話や歴史などが数多く語られていたものの、人物同士のやりとりや駆け引きといった様子はかなり楽しめました。差別や傲慢な一面を覗かせつつも、人と人とのつながりや友情、愛情などは今の時代とかわらずそこにありつづけていて、特にダニーとルーサーのやりとりは人種問題に馴染みのない日本人だからこそ楽しめたように思えました。波乱の下巻へ。2014/10/30
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