内容説明
境遇を越えて友情を育んできた、ショーン、ジミー、デイヴ。だが、十一歳のある日、デイヴが警官らしき男たちにさらわれた時、少年時代は終わりをつげた。四日後、デイヴは戻ってきたが、何をされたのかは誰の目にも明らかだった。それから二十五年後、ジミーの十九歳の娘が惨殺された。事件を担当するのは刑事となったショーン。そして捜査線上にはデイヴの名が…少年時代を懐かしむすべての大人たちに捧げる感動のミステリ。
著者等紹介
ルヘイン,デニス[ルヘイン,デニス][Lehane,Dennis]
マサチューセッツ州ドーチェスター生まれ。1994年に『スコッチに涙を託して』で作家デビューをし、ジェイマス賞新人賞を受賞した。2001年に発表した『ミスティック・リバー』はアンソニー賞を受賞し、全米ベストセラーに名をつらねた。日本でもミステリ・ランキングの上位に輝いている。2003年には『シャッター・アイランド』を発表し、新境地をひらいた
加賀山卓朗[カガヤマタクロウ]
1962年生まれ、1985年東京大学法学部卒、英米文学翻訳家
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
331
映画は見ていた。話題作を数年後に読むと、なぜあんなに盛り上がっていたのだろう?と思うことが良くある。この作品も、ケイティが死んで以降、終盤までほとんど起伏がなく、物語の進展も遅い。ただし、細かな描写を静かに積み重ねることで、ジミーの中に、何か澱のようなものが溜まっていく様子や、デイヴの破滅を予想させていく、その過程に引き込まれるものがある。スティーヴンキングフォーマットともいうべき、少年時代から大人への移行の流れは鉄板。ショーンの奥さんだけ意味不明。不倫して家を出ておいて、旦那が謝るまで無言電話って…。2019/04/19
ケロリーヌ@ベルばら同盟
55
本書と、映画化された作品への深いレヴューに惹かれて。600頁を超える大作を一気に読了。ボストン(おそらく)郊外、大規模な刑務所を中心に、看守とその家族、収監者の妻子等が定住した事を起源とする街で育った三人の男が、ある痛ましい事件をきっかけに再会する。25年前に陽光眩しい路上から走り去った車は、11歳の少年達から何を奪い、また刻み付けたのか。家庭環境、不況、半端な開発、多発する犯罪、暴力。儘ならぬ人生への焦燥や無力感が、彼らの状況を通して身を咬むような哀しみとなって心を撃つ。深い愛が狂わせた心が辛い。2020/03/16
takaC
54
映画とも原著とも微妙に違うけど同じくらい重苦しい。ジミーとデイヴとショーン、あの事件がなくてもこの街で彼らはそうなる宿命だったのかもしれない。2015/09/25
kariya
23
3人は友人だった。1人が男達に連れ去られ、数日後生きては戻ってきたが、永遠に何かが変わった。25年後、1人の娘が殺され、刑事となった1人は捜査に当たり、誘拐された1人は容疑者の内にいた。丹念に描き込まれた描写は、3人の男達の造形を際立たせ、何よりかつて車に乗り込んでしまった者だけでなく、乗らなかった者達にも、刻印として残る傷跡を浮き彫りにする。虐待に酷似した、暴力の結果としての連鎖を示唆するラストも秀逸。損なわれなかったがゆえの負い目を、償う術はきっとない。2009/09/13
青葉麒麟
21
地元で嫌な目にあってるのに、又地元に住み続けるからこんな悲しい事になったと思う。2011/10/12