内容説明
英軍どもにアイルランドのテロリストと決めつけられ、収容所送りにされた―おれは陰険な看守に暴行を受け、目の前でばあちゃんからの差し入れを踏み潰された。固い寝床に粗末な食事、一緒に拘禁された親友も気がめいってる。こんな非人道的な場所で死んでたまるか。ぎりぎりの状況下、ついにおれは起死回生の大脱獄計画を編み出した!明日なき日々からの大脱走を試みる青年の激しい生きざまを描き出す、獄中青春小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
hit4papa
15
『Mr.クイン』、『わが名はレッド』の二作のクライムノベルでちょっとした盛り上がりをみせたシェイマス・スミスの翻訳三作目です。クールな犯罪者を淡々と描いた前作までと異なり、無実の罪で三年余拘禁された青年が主役の文学作品になっています。作品の背景である70年代の北アイルランドの世情を理解していないとピンとこないので、調べながら読み進めることになります。いわれなき暴力が常態化する中、収容者たちは仲間としての絆を深めていくわけですが、さほど深刻さや怒りを感じないのは、著者独特の乾いた人物造形にあるのでしょう。2017/02/04
tai65
2
星4つ2014/05/10
聖月
2
〇本書『名無しのヒル』は、著者の自伝的小説である。『Mr.クイン』や『わが名はレッド』のような犯罪小説でもないし、ミステリーでもサスペンスでもない。ただ単に著者の自伝的小説なのである。じゃあ、評者の人生みたいに、なだらかに自分の半生を語っているのかといえばさにあらず。単純に言えば獄中記、いやいや自伝に模した監獄物の小説と言ったほうがいいのかな2004/10/23
longscale
1
もう一度読みたいのだけど、絶版になったのか見当たらない。女王の国の悪事の一端を描きながら、報復の無意味さを語る尊い精神には頭が下がった。予防拘禁。
慧
0
★★2004/09/30