ハヤカワ・ミステリ文庫
約束

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  • サイズ 文庫判/ページ数 203p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784151733017
  • NDC分類 943
  • Cコード C0197

内容説明

お約束します、きっと犯人を挙げてみせます―被害者の両親の前から逃れたい一心で口にしただけの言葉だった。だがその時から、山間の村で起きた少女惨殺事件が警部の人生を支配する。捜査は容疑者の自殺で終了したが、彼は別の真犯人の存在を確信していた。過去の名声も、現在の生活も、将来の夢も、すべてをなげうって犯人逮捕にかける警部の執念の計画とは?J・ニコルソン主演、ショーン・ペン監督で映画化の傑作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

269
珍しいスイス(ドイツ語圏)の警察小説。副題には「推理小説へのレクイエム」とあり、作中でも推理小説の合目的性に対する違和感が表明されている。その反対に、推理小説のファンは本書の犯人像と結末には満足しないだろう。主人公のマテーイは、ヨルダンへの栄転を捨てて、真犯人の割り出しに自己の後半生を賭けるのだが、それは被害者の両親との約束の故だったのか、あるいはあくまでも真実をこそ追究することにあったのか。おそらくは後者だったと思われるのだが、なんとも不条理な物語であり、またそれ故にこそ得難い作品であるとも言える。 2016/01/27

遥かなる想い

153
映画の結末に飽き足らなかった著者が、 別の結末を考えて小説化した作品である。 少女惨殺事件を追う マテーイ警部の執念が 贅肉を削ぎ落とした文体で 描かれる。 何かを抑えているような表現は ドイツミステリーの特徴なのだろうか? 被害者の両親との「約束」… 従来のミステリーとは違う 結末に 著者は どんな意味を込めようとしたのだろうか? 2019/05/15

ケイ

118
タイトルの「約束」が意味深である。いわゆる推理小説的なミステリとは違う。将来を約束された刑事は、なぜそこまでこだわったのか。語り手の登場の仕方や、物語のキーとなる人物のうらぶれた姿を冒頭で見せつけることで、読者を離さない巧みさ。短く訳もこなれていて読みやすい。ショーンペンが監督で、ジャックニコルソン主演で映画化されている。2016/09/14

NAO

74
少女殺害犯人を捕まえると母親に約束した主人公は、容疑者が拘置所で自殺したあと母親から礼を言われた。だが、どうしても容疑者が犯人とは思えず、すべてを捨てて、真犯人を捕まえることに執念を燃やした。本書は、1958年公開のデュレンマットがシナリオを書いた『真昼の出来事』(日本未公開)の結末にデュレンマット自身が不満を感じ、まったく別の結末を考えて小説化したもの。真犯人を捕まえるという執念が狂気を帯び始める不気味さ、そして、ラストの救いのなさが、なんともいえない。2021/06/21

セウテス

52
たいへん読みやすい文章に、魅力的な謎の提示、しかし本作はアンチミステリである。主人公のマテーイ警部は、栄転の直前に発生した少女の殺人事件へと出向く。そこで会った被害者少女の母親と、自分の後生を賭け犯人を捕まえると約束をしてしまう。しかし容疑者であった男は自殺してしまい、真犯人がいると信じるマテーイは、栄転を投げうち犯人を求めさ迷う事になる。「守らねばならない約束などしないことだ」、検事が主人公に言う言葉だが、守る為にする行為を約束と呼ぶ訳であり、何とも不条理を感じる。結局何を言いたいのか、スッキリしない。2017/08/11

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