内容説明
1983年、小学生の女子が失踪―巨大な眼鏡の奥から真相を見とおす名刑事“フクロウ”ことモーリスが捜査にあたる。が、昔の明敏さは失われ、事件の手がかりは一向につかめない。やがてモーリスは事件を忘れようと、かつての恋人だった女性霊媒師との肉欲の思い出に浸り、精神を荒廃させてゆく。“可愛い少女は消えてしまい、切り裂き魔は飛び跳ねて、警官は拷問好き…”。葬られたはずの過去の悪夢が次々と甦る。隠されるべき英国の暗部を抉る、反逆の暗黒小説、終幕。
著者等紹介
ピース,デイヴィッド[ピース,デイヴィッド][Peace,David]
1967年、イギリスのヨークシャーに生まれる。現在、戦後の東京を舞台にした「東京四部作ノワール」と英国のサッカー業界を舞台にしたノワールを構想中。東京在住
酒井武志[サカイタケシ]
1961年生、京都大学理学部卒、英米文学翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Schunag
6
東京三部作完結を機に再読。おおよその謎は前作でケリがつけられているので(新たな事件はあるがこれも『1974』の反復のような感じ)いわば1-3作の裏面を描くような趣。視点は3つで、前3作にも登場する‟フクロウ”・ジョブスン、前3作の要所に出現した男娼BJ、『1977』にちらりと現れた弁護士ピゴット。ジョブスン章は『1974』に至る前史、BJは『1974』終盤から『1980』までを裏側から描いて、前作で間接的に描かれた「真相」を裏書きし、また説明されていなかった部分を補足する。2021/08/15
京橋ハナコ
1
コレが味ということなのだろうが、だれ視点なのかしばらく読み進まないとわからない。過去の回想なのか現在のことなのかもすぐにはわからない。4冊目にしてわかったこともあるが、どういう意味なのかいまひとつわからないことも。自分自身の読解力のなさもあるが、疲れた。2011/04/30
まろ
0
すべての事件がここで収束するのだが、読後に爽快感も充実感もない。疲労感を感じる。だが、この世界は病みつきになる。面白かったし、独特とも言える文章構成には唸らされるが、この作者の別の作品を読む気にはなれない。少なくともすぐには。2009/04/07
ともりん
0
やっと終わった。読者である「わたし」がよくわからないままに放置されるというノワール。腐敗、暴力、不潔、陰湿。正義と何なんだっけ?と思いながら繰り返される文章を読む。正直いって「私は知らなくてもよい世界だった」というのが4部作を読んだ感想。繰り返す文章によって頭の中で映像動き出すのはすごいんだけど、ページ数半分以下で表現できたらもっとすごいし読者には親切。そこもノワール。日本を舞台にした作品に進もうか悩み中。2021/07/26
ちゃんまる
0
「ヨークシャー四部作」その42004/05/31