内容説明
卒業式を目前にひかえた朝、グレンデール高校に銃声が響く。鍵のかかった女子トイレに警察が踏みこむと、そこには三人の女子学生が倒れていた。人気者のキャットが胸を撃たれて死亡し、ジョージーは足に銃弾を受けて負傷。発砲したのは二人とは親友の仲のペリで、彼女は自らの頭を撃って意識不明に…仲良し三人組に何が起こったのか?12冠作家がその力量をいかんなく発揮し、青春の光と影を描き出した力作サスペンス。ガムシュー賞最優秀長篇賞受賞作。
著者等紹介
リップマン,ローラ[リップマン,ローラ][Lippman,Laura]
20年間新聞記者として活躍し、1997年にテス・モナハン・シリーズの第一作『ボルチモア・ブルース』で作家デビュー。続く第二作『チャーム・シティ』で、アメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)とアメリカ私立探偵作家クラブのシェイマス賞を受賞し、一躍脚光を浴びた。その後もアンソニー賞を3回受賞するほか、アガサ賞、ネロ・ウルフ賞、バリー賞など多くの賞を受け、現代アメリカを代表する女性作家の一人として活躍を続けている。『永遠の三人』で、Mystery Inkから発表されるガムシュー賞の最優秀長篇賞を受賞した
吉澤康子[ヨシザワヤスコ]
津田塾大学学芸学部国際関係学科卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ハレ
8
女子高校生3人は小さい頃から仲良し。そのなかの一人、裕福で美少女で成績も性格も良しと非の打ち所がないキャットが殺される。ミステリーだから最後に真相は明かされるのだが、そこまでが長い長い!3人の少女はもちろん、その家族、学友、教師、そして事件を担当する刑事達までの様子が丁寧に描かれる。長いけどこれがけっこう面白い。ただラストに至るまで殺されたキャットの描写だけは他の人に比べると薄いように思われる。ここがポイントなのかと。 3人の中では殺されたキャットが一番人間臭く、哀れで可愛そう。タイトルはちょっと、、 2024/02/15
しろ
7
☆5 親友三人の内で、一人が殺され、一人が自殺し(重体)、一人がけがという状況がなぜ起こったのか。女子高生の複雑な関係性をノスタルジックな青春ものとして描きつつ、ミステリで話を引っ張っているのが巧いと思う。ただ今作は合わなかったのでそんなに楽しめなかったが、題材や状況設定は良かった。その分真相にはあまりカタルシスがなかったけど、各登場人物が良くたっていたと思う。まさに青春ミステリ。2013/03/20
守護楼
0
心情描写の丁寧さは、「高慢と偏見」を彷彿させる。ただ、三人の心理は謎のままにストーリーは進む。もう少しといったところ。2015/11/15
くさてる
0
高校での発砲事件で親友だった三人が死傷した。仲良しの三人に何が起こったのか。結末は一見あっけないるかもしれないが、少女の気持ちを思い、私は納得。思春期の少女の気持ちを知りたい人、理解できる人に読んでほしい。その昔はハードボイルドを「女子供には分からないよさ」的に評価する声があったが、これは男と男子には分からないよさかも知れない。2010/03/02
yos
0
思春期の少女たちを主人公にした、ローラ・リップマンの力作。キャット、ジョージー、ペリの三人は小学生時代からの親友だった。しかしある朝ペリは、キャットを撃ち殺し、ジョージーの足を撃ち抜き、最後に自分の頭に弾をたたき込む。何がおきたのか。ほんの少しのボタンの掛け違えが、招いた重大な悲劇。そこに至るまでの少女たちの心情を、リップマンは見事に描き出す。真実は三人の関係の中にあり、地道な捜査で解決に結びつけた二人の刑事のキャラクターが魅力的である。死人に口なしというけれど、真実は最後には必ず明らかになるのだ。2009/06/15