内容説明
家族のいないワシントンの探偵デレク・ストレンジにとって、少年フットボール・チームのコーチをすることは生きがいだった。少年たちを指導し、犯罪に手を染めないようにさせる。しかし、そんな彼の情熱をこの街は無情に嘲笑った。練習後、デレクが目をはなした隙に、チームの少年が何者かに射殺されてしまったのだ。己への怒りと深い哀しみを背負い、デレクは犯人を追い始めるが…。無垢な魂に捧げる卑小な探偵の哀歌。
著者等紹介
佐藤耕士[サトウコウジ]
1958年生、上智大学文学部英文科卒、英米文学翻訳家
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感想・レビュー
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Satoshi
5
黒人探偵デレク・ストレンジシリーズの第2作。ペレケーノス作品には外れがなく、相変わらずの面白さである。アメフト教室の少年の銃殺事件と家出少女の捜索が並行して進むが両者は絡み合うことはなく、ただ貧困の再生産と犯罪を犯さないと脱出できない困窮の虚しさを読者に投げ掛けて終わる。目の前の少年のために犯人への私的制裁を止めた主人公の姿に心うたれる。2017/06/01
himehikage
0
自分をコケにしたからという理由だけで人を殺す若者たちはどうしようもなくひどいやつらだ。しかし、ペレケーノスの小説は、そんな極悪人にも、親がいて友達がいて、どこか人間らしいところを持っていることを必ず描く。そこが良い。2007/09/25