内容説明
ときは慶長19年、世にいう大坂の陣が始まった。劣勢の豊臣のもとに馳せ参じた浪人衆の中でも際立っていたのが、知将・真田幸村。手勢は若さと個性にあふれる十勇士。人心を読む猿飛佐助、実は女性の霧隠才蔵など、一風変わった面々ながら、みな熱い思いを胸に抱き、互いに絆を育んでいた。幸村の知略も冴え渡り、徳川勢を撃退せんと、いざ出陣!舞台、映画、ドラマとして長年愛されてきた、勢いはじける傑作青春群像劇。
著者等紹介
福田善之[フクダヨシユキ]
劇作家・演出家。1931年東京日本橋生まれ。東大仏文卒、新聞記者を経て、劇作家木下順二・演出家岡倉士朗に師事、1957年『長い墓標の列』発表。60年、観世榮夫と劇団青芸(青年芸術劇場)に参加。93年『壁の中の妖精』作・演出ほかで第28回紀伊國屋演劇賞、94年『私の下町―母の写真』が第46回読売文学賞・文化庁芸術祭演劇部門大賞。01年紫綬褒章。06年シナリオ功労賞ほか。現在、日本演出者協会評議員、日本劇作家協会顧問(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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harass
32
62年初演の戯曲。解説が北村薫でなんでやねんと購入。学生運動の熱い時代の空気が反映された真田十勇士もの。当時の学生運動の意義を豊臣内部と徳川側と争う十勇士に擬している。デタラメさと軽さが面白い。時代を越えて青春ものとしても笑えてほろ苦く十分楽しめる。ネットで調べると映画化されていた。十勇士でギターを爪弾く望月六郎はミッキー・カーチス…… 2015/05/09
ヨーイチ
25
演劇畑なので認知度は低いが知る人ぞ知る名作を再読。40年位昔学生演劇で先輩が提出して本読み会(つまり役を割り振って皆んなで読む)で読了。70年代で学生運動は下火、我々は「シラケ世代」なんて呼ばれていた。日本の戦後を見据えた社会観は鋭く深い。唄と踊りと笑いを交えた作劇は「あの頃の表現」に満ち溢れていて、往時を知る者は涙ぐむかも知れない。結局統治者の地盤は揺るぎもしない。井上ひさしもこう言う作品を量産していた。「解放区」なんて当時の流行語だった。続く2023/12/31
なな子
4
大人でも子供でもない若者というのは、生きてこの世で生活するのに慣れ始め、調子に乗って、一人前に自分の好き勝手なことをする年代である。わたしたち若者もこの作品が書かれた60年代の学生運動家も戦国の真田十勇士も。だからどこまでも熱く失敗でも成功でもない挑戦をくりかえす。戦に挑み続ける。これが描かれた頃は若者たちが時代を変えて自分たちの国を手に入れようとしたときだった。今を生きるわたしたち若者はその熱い魂の欠片みたいなものを受け継いで、何かを作らなきゃいけない。おじさんまかせの世の中の端っこに手を伸ばさなければ2009/09/18
nick
1
70年代演劇代表作の1つだが…古くない。何がだろう。人物か?戯曲で号泣したのは初めてかも知れない。2011/08/31
littlelielittle
0
古さはさすがに感じるものの、演出次第でどうにでもできるレベルのもの。歴史的事実に則った(わかりやすい)筋書きがあるだけ、今の時代でも上演しやすいだろうとは思う。2011/09/17