内容説明
おしゃべり好きが災いして会社を馘になったヴィクトリアは、一目惚れした美青年を追いかけて一路バグダッドへ。やっとのことで彼の勤め先を探しあて、タイピストとして潜り込んだものの、とたんに不可解な事件に巻き込まれてしまった。さらに犯人の魔手は彼女にものびて…中東を舞台に展開するスパイ・スリラー。
著者等紹介
クリスティー,アガサ[クリスティー,アガサ][Christie,Agatha]
1890年、イギリスのデヴォン州トーキーに生まれる。1914年に24歳でイギリス航空隊のアーチボルド・クリスティーと結婚し、1920年には長篇『スタイルズ荘の怪事件』で作家デビュー。1926年には謎の失踪を遂げる。様々な臆測が飛び交うが、10日後に発見された。1928年にアーチボルドと離婚し、1930年に考古学者のマックス・マローワンに出会い、嵐のようなロマンスののち結婚した。1976年に亡くなるまで、長篇、短篇、戯曲など、その作品群は100以上にのぼる。現在も全世界の読者に愛読されており、その功績をたたえて大英帝国勲章が授与されている
中村妙子[ナカムラタエコ]
東京大学文学部卒、英米文学翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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aoringo
78
スパイ物のサスペンス。作り話でホラを吹く癖のある女性が、一目惚れした青年を追いかけて文無しでバグダッドまで訪れる。最初はあまり好きになれなかった主人公の無鉄砲さに次第に応援したくなってくるから不思議。中近東の雑多な街並みや文化の描写が丁寧に書かれていて、異国情緒をたっぷり味わえる。ごく普通の女性なのに後先考えずスパイまがいなことをして大冒険する。こういう話は大好きなので楽しめました。2019/07/13
みっぴー
59
主人公は会社をクビになったタイピスト。公園で一目惚れした男性を追ってバグダッドへ…。行動が突飛すぎてついていけませんでした。中東を舞台にしたスパイものというので期待していましたが、場面がコロコロ変わり、登場人物も次々新しい人が出てくるので中々没頭できずに読了です。主人公が何も知らない男性を追いかける時点で興味が失せてしまいました。あまりにも現実味がなくて…。うーん、残念。2016/05/19
NAO
56
クリスティのノンシリーズのスパイもの。視点と場所が目まぐるしく変わるが、すいすい読める。ただ、いかにもという設定が少し鼻につく。とはいえ、ちょっとお馬鹿さんじゃないのとも思えるヴィクトリアが、最後の方では意外な機転を発揮し、「女だからってなめんなよ」って感じが女性としては胸がスカッとする。2024/03/10
yumiha
52
他の方の感想では、ヒロインのヴィクトリカは不評判だが、私は気に入った。ウソつき、もとい「虚構はつねに真実以上にこたえられぬ魅力」って、クリスティーそのもの。また〈オリーヴの枝の会〉を捜し回って気も急いてくたびれているはずなのに、異文化の香プンプンの店のウィンドウに気を取られたりするのも、クリスティーっぽい。さらに行動力をプラスして、お金もないのにバグダッドへ来てしまったあたり、魅力的ですがな。バグダッドの風景など生き生きとした描写もいい。ラスト一歩手前の大どんでん返しは、全く予想していなかったので驚いた。2022/07/21
森オサム
49
ノンシリーズのスパイ小説。めっちゃくちゃな話。主人公ヴィクトリアが余りにもいい加減で、このキャラ造形と破天荒な行動を受け入れるのか拒絶するのか。で、どうだったかと言うと、結構慣れると面白く読む事が出来ました。米ソ首脳を巻き込んだ壮大な物語の設定からすると、計画も行動も相当緩くて、よくヴィクトリアを頼れるなぁ、と心配になります…。と言う訳で、緊張感の有るスパイスリラーでは無く、嘘つきでハチャメチャなヒロインを温かく見守るコメディとして読めば、それなりに楽しめると思います(笑)。2023/10/21
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