内容説明
パリからロンドンに向かう定期旅客機が英仏海峡にさしかかった時、機内を蜂が飛びまわり始めた。乗客の一人が蜂を始末したが最後部席には老婦人の変死体が。そしてその首には蜂の毒針で刺されたような痕跡が残っていた…大空を飛ぶ飛行機という完全密室で起きた異様な事件。居合わせたポアロが調査を開始する。
著者等紹介
クリスティー,アガサ[クリスティー,アガサ][Christie,Agatha]
1890年、保養地として有名なイギリスのデヴォン州トーキーに生まれる。1914年に24歳でイギリス航空隊のアーチボルド・クリスティーと結婚し、1920年には長篇『スタイルズ荘の怪事件』で作家デビュー。1926年には謎の失踪を遂げる。様々な臆測が飛び交うが、10日後に発見された。1928年にアーチボルドと離婚し、1930年に考古学者のマックス・マローワンに出会い、嵐のようなロマンスののち結婚した。1976年に亡くなるまで、長篇、短篇、戯曲など、その作品群は100以上にのぼる。現在も全世界の読者に愛読されており、その功績をたたえて大英帝国勲章が授与されている
加島祥造[カジマショウゾウ]
1923年生、1947年早稲田大学英文科卒、英米文学翻訳家
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
342
アガサ・クリスティの17番目の長編小説。ロンドン行きの飛行機の機内での密室殺人事件であり、衆人環視の中で行われた一種の不可能殺人である。出版は1935年。この年代からすれば、飛行機旅行はかなり贅沢であり、ある程度は限られた客層に限定されていたと思われる。そんな中にあって、ジェーン1人だけは場違いな階級であるが(競馬で100ポンド稼いだようだ)物語の華やぎのために配されたキャスティングだろう。不可能とも思える殺人の動機も方法も見事に言い当てて見せるのはポワロである。今回はなんといっても、飛行機の中という⇒2025/02/20
れみ
123
ポアロシリーズ10作目。パリからロンドンへ向かう旅客機のなかで見つかる老婦人の変死体。居合わせたポアロは調査を開始する…というお話。終盤、ポアロが真相にたどり着いたらしいところまで読んで、私にも謎が解けるかも…と思って、事件が発覚するまでのくだりを何度も読み返したけど、これがポイント!と言うところは見つけられなかったのが残念。「人は自分を表現したがるもの」というポアロの言葉が読者へのヒントでもあったのかも。今まで読んだいくつかのクリスティ作品では列車が登場するものは多かったけど、飛行機ものは初めて。2020/06/30
yu
83
Kindleにて読了。ポアロシリーズ。飛行機の中で富裕層を対象に金貸しをしていた女性が殺害された。その飛行機にはポアロも同乗していた。蛇の毒に浸した針で刺されて毒殺された事が判明した。他の乗客もいるなかで、誰がどうやって針を刺したのか。途中でなんとなく犯人に気づいた。金の魔力に取りつかれて、人を殺すことになんの躊躇も罪悪感も感じない犯人には、何の同情の余地もない。2018/05/19
財布にジャック
76
約2年ぶりの再読な為、流石に内容を覚えていました。しかし、最初から犯人はこいつだと解って読むのも楽しいものです。ポアロが全員を疑い、ひとりひとり地道に当たっていく展開は、いつもの天才的な探偵というよりも地味な刑事さんのような印象でした。ヘイスティングズが登場しないのは、どこか寂しい気がしますが、素敵な女性は相変わらずちゃんと登場してます。この小説では、その女性の存在が大きいです。2012/09/11
ばりぼー
74
【辛口御免】パリ発の定期旅客機内で金貸しの老婦人が毒殺される完全密室事件を、偶然乗り合わせたポワロが地道に手がかりを集めて犯人を追い詰める「中期の傑作」…という評判もありますが、私は疑問。犯人の殺人計画が杜撰で支離滅裂、検死をすれば毒物の成分は分析されるはずなのに(序盤で判明)、なぜ蜂を機内に持ち込む?そのせいで乗り物酔いで眠っていた「おせっかいなチビのほら吹き」探偵に看破されるのだから、まさに自爆。この計画を遂行できる犯人は超ポジティブです。丁寧な伏線の妙を楽しめるので、ツッコミを入れて読むには最適。2015/09/23