出版社内容情報
当代一流の翻訳者が新訳を手がけた傑作短篇集。本邦初訳の話題の2篇を含む16篇を収録
内容説明
レストランで偶然聞こえてきた若い娘とその婚約者との何気ない会話を描く、短くも鮮烈な表題作。南フランスにある海辺の保養地をおとずれた新婚夫婦の仲が、あるいきさつから危機に直面する様子を中年の作家がほろ苦くつづった「ご主人を拝借」―本邦初紹介となる「祝福」と「戦う教会」を含む多彩な味わいの十六短篇を収録。ひそやかなユーモアと胸を打つ哀感をあわせもつ、イギリス文学の巨匠の日本オリジナル短篇集。
著者等紹介
グリーン,グレアム[グリーン,グレアム] [Greene,Graham]
イギリスを代表する作家であるとともに、20世紀のもっとも偉大な作家のひとり。1904年10月2日、ロンドン北西のバーカムステッド生まれ。オックスフォード大学卒業後、1926年から『ザ・タイムズ』に勤務。1929年に『内なる私』で文学界に登場した後、『ザ・タイムズ』を退社して作家活動に入る。第二次大戦中は情報活動に従事していた。『ブライトン・ロック』(1938)と『権力と栄光』(1940)で作家としての地位を確立し、『事件の核心』(1948)、『情事の終り』(1951)で世界的な名声を得た。1991年4月3日死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
22
「ショッキングな事故」へえ、グレアム・グリーンもコメディ書くんだ!作家が傍観者としてある事件の目撃者になるパターンが多いが作家=グリーンと投影して読む。2018/01/29
くさてる
17
短編集。ドタバタ、恋愛、サスペンス、旅情もの、同性愛…様々なジャンルの作品が粒揃いで収録されている。どの作品も底辺に品の良い意地悪さと諦観とユーモアがある感じがして、そこがいい。「見えない日本の紳士たち」の二人の間にある断絶の底知れなさ、一級品の恐怖小説「過去からの声」、好きなように楽しみたい夫と妻たちそれぞれの思惑が思わぬ方向に進んでいくドタバタコメディ「諸悪の根源」などが良かったけれど、なんといっても「庭の下」!この何と表現したら適切かわからない作品には本当にやられました。おすすめ。2015/04/11
mejiro
10
「悔恨の三断章」「旅行カバン」「見えない日本の紳士たち」「諸悪の根源」「慎み深いふたり」「祝福」が特におもしろかった。重苦しさはなく、ユーモアや哀感が味わい深い。2015/03/06
うなぎいぬ
10
謎めいた小説って嫌いではないけれど、この中ではある意味わかりやすい『ショッキングな事故』が1番好きでした。本当に一緒に生きていける人と出逢える幸せを考えさせられる。2人の未来に幸あれ…と本気で思いながら読み終えました。2013/05/14
きりぱい
8
酒を飲むのに忙しく、思うように夫に話を聞いてもらえない夫人たちが集まり、残された亭主たちは・・と「諸悪の根源」の滑稽な騒ぎの展開が好き。この作品のまえがきで訳者が、死ぬ時にはグリーンを訳していたいと書いているのにぐっときた。さっと過ぎる男女の仲が印象的なのは「慎み深いふたり」と「八月は安上がり」だけれど、セクシャルな話題に及ぶ「悔恨の三断章」や「ご主人を拝借」のえぐさ、復讐がおっかない「過去からの声」もいい。「ショッキングな事故」も捨てがたい。表題作は『短篇小説日和』の「八人の見えない日本人」に同じで。2013/06/25
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