内容説明
第一次世界大戦後のパリ。芸術家が享楽的な日々を送るこの街で、アメリカ人ジェイク・バーンズは特派員として働いていた。彼は魅惑的な女性ブレットと親しくしていたが、彼女は離婚手続き中で別の男との再婚を控えている。そして夏、ブレットや友人らと赴いたスペイン、パンプローナの牛追い祭り。七日間つづく祭りの狂乱のなかで様々な思いが交錯する―ヘミングウェイの第一長篇にして初期の代表作。
著者等紹介
ヘミングウェイ,アーネスト[ヘミングウェイ,アーネスト][Hemingway,Ernest]
1899年、アメリカ、イリノイ州生まれ。1918年、赤十字の一員として第一次世界大戦に参加。1921年から特派員としてパリに在住。1953年に『老人と海』でピュリッツァー賞を受賞。1954年にノーベル文学賞を受賞した。1961年死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やきいも
102
主人公とヒロイン、その仲間たちがスペインに旅にでて、釣りをしたり、闘牛を観たりする中で様々な恋愛模様を繰り広げる話。劇的な展開というよりは淡々と流れていく感じのストーリー。でも、簡潔な言葉で美しさをしぼりだした、歯切れの良いあのヘミングウェイの文章を味わいたい方には最良の本だと思う。主人公とヒロインの互いの思いを伝える会話がカッコイイ。モノクロのハリウッド映画を思い出させるなつかしい美しさがあった。2016/06/22
やきいも
91
数人の男女が恋模様を繰り広げながらスペインに闘牛を観に行く話。一番印象的だったのは「登場人物の会話文」。恋する気持ちを伝える会話文が美しいのは、恋愛経験豊富なヘミングウェイだからなのだろうか。ちなみにストーリーには劇的な展開というものは特にない。そして文章も長々とした描写はない。あくまでも歯切れの良いリズムのある文章。そんな強い個性を感じさせる著者の力作。2017/07/29
Book & Travel
47
舞台は1920年代パリ。ヘミングウェイ自身がモデルというアメリカ人特派員のジェイクと、奔放な女性ブレット、そして周辺の人びと。あてどない世代と呼ばれた彼らの享楽的な日常は、毎日飲み歩いてはくっついたり離れたり。夏休みは皆でスペイン旅行へ。物語としては平坦だが、ジェイクの一人称で語られる無駄のない文章に、読み進む程に引き込まれた。決して結ばれることのないブレットヘの思いが切ない。ヘミングウェイの目線を通した当時のパリ、バスク地方の風景、パンプローナの熱狂的な祭りと闘牛なども読みごたえ満載。ラストも良かった。2019/11/28
しんすけ
23
苦い恋を体験したものでなければ理解できないかもしれない。 書き間違えた! 恋とは狂おしくて、苦いのものなのだ。 最初に手にしたのは十四歳だったと思うが、登場人物の会話の意味が分からず挫折したのを憶えている。 だが今は、その言葉のすべてが胸を打つ。 二十代半ばで読んだときも、多くを理解できた。 苦い恋を経験していたからだろう。 どんなに愛していても、些細な行き違いが男女の間に敷居を作る。そういうことがあることを、恋をすれば誰もが体験する。 『日はまた昇る』はそんな男女を描いた物語といえる。2022/08/17
おはち
23
会話はテンポ良く、地の文は淡々としていてとても映像的な小説。スペインに移ってからの時間の流れ方が心地良く、「あてどない世代」の持て余す感じが伝わってくる。それにしてもこれほど一緒に旅行したくない面子も珍しい…2020/07/28