ハヤカワ文庫<br> マザーレス・ブルックリン

ハヤカワ文庫
マザーレス・ブルックリン

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  • サイズ 文庫判/ページ数 513p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784151001529
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

フランク・ミナは、ぼくらの兄貴で、父で、恩人で、ボスだった。孤児院暮らしのぼくらを雇い、稼がせ、成長させ、大人にしてくれた。そんなミナが、ゴミ箱のなかで血にまみれ…無免許探偵のぼくらは、殺されたミナのため、奥さんのため、仕事のため、ぼくらのため、町へ出る!言葉の魔術師の異名を取る著者が魅力を全開させた、超個性脈ハードボイルド。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

288
この小説を日本語で味わえるものかは、はなはだ疑問。翻訳者の苦労はわかるが、残念ながら往々にして支離滅裂で品位を欠く日本文の羅列という結果に終わってしまったようだ。主人公のライオネルはトゥーレット症候群を抱えており、そのことは彼の発話にも大いに影響し、周りの理解も得られにくい。本書はむしろそこに立脚し、そうした意味の倒立やズレをプロットの推進力に書かれたもののようだ。ガーディアンにも選ばれてはいるが、イギリス人やあるいはニューヨーカー以外のアメリカ人にさえも理解しがたい点があるのではないだろうか。2018/08/05

まふ

99
主人公ライオネルが孤児院仲間のリーダーであるフランク・ミナのリンチ死を不審に思い、その犯罪を追及して思いがけない人間関係に繋がっていることを知る物語。トゥーレット症(音声チック+運動チック)であるライオネルの発言が全体の大きな構成要素となっており、翻訳にその苦労が偲ばれる。皆さんの評価は低いようだが、私は笑ってしまうことも度々、大いに楽しんだ。音韻の重なりが連語の効果を生んでおり、原語だとさらに迫力あると思われるが、訳者はよく頑張って訳していると思った。拍手!である。G634/1000。2024/10/23

NAO

69
孤児院育ちの少年たちが慕っていた」フランク・ミナが実はちんけなチンピラでしかなかったことを知る、少年の成長物語だが、主人公が重度のトゥーレット症候群であることで、ミステリの中に言葉遊び要素が組み込まれている。こういった言葉遊びは、訳が大変難しいだろうが、殺伐とした雰囲気の中で、彼の突拍子もない言葉の羅列が、ときにかなり有効な緊張の緩和剤となっている。2019/04/20

花乃雪音

19
首振りや蹴りに甲高い声、意味不明、卑猥、非常識な言葉を発するなどの症状があるチック症の主人公ライオネル・エスログは父であり兄でありボスであるフランク・ミナを殺されその犯人を追う。ハードボイルド小説だが<エスクァイア>誌で1999年純文学におけるベストブックに選出、全米批評家協会賞のフィクション部門の受賞作となる。それなら本作はハードボイルド小説の皮を被った純文学小説かというと紛うことなきハードボイルド小説だった。ライオネルの強みは驚異的な記憶力で武闘派ではないが読み終えると彼がタフな人に思えた。2023/12/08

mike_sugino

7
現在公開中の映画の原作ということで、図書館で借りて読了。ブルックリンの孤児院で育った四人がフランクに拾われ探偵免許を持たない闇探偵として活動するが、フランクが殺されててしまい四人はその死を追うという幕明け。一人称で語るのはその中の一人ライオネルだが、彼はトゥーレット症候群で突然意味不明の言葉を発したり、駄洒落を連発したりする。その駄洒落が韻を踏んでいて、誌的というかラップっぽかったりと格好いい。ハードボイルドなのに純文学の選書に選ばれたのは、こういった 言葉選びの要因か?訳者の苦労にも頭が下がるるね。2020/01/14

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