ハヤカワ文庫<br> 11の物語

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ハヤカワ文庫
11の物語

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  • サイズ 文庫判/ページ数 288p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784151000270
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

動物学教授のクレイヴァリングはひとり南海の孤島へ船出した。伝説の巨大かたつむりを見つけ、歴史に名を残そうというのだ。だが運よく発見には成功したものの、船が流され、彼は島でたったひとりに…。孤立無援の男を襲う異常な恐怖を描く「クレイヴァリング教授の新発見」他、人間心理の歪みが生みだす恐怖と悪夢に彩られたサスペンスの鬼才の傑作短篇集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

めしいらず

52
映画「見知らぬ乗客」「太陽がいっぱい」で知ったハイスミス。四半世紀前に初めて読んだ著者作品がこれ。あの時の衝撃そのまま。自分の言動に付加した意味に酔いしれ、聖性すら感じ、著しく客観性を欠いたまま感情が暴走、迷わず人生を踏み外していく人々。それぞれの心理を綿密に辿る筆致の、何という苛立たしさ、読み心地悪さ、そして面白さだろう。粒揃いの短編集だけど、やはり「かたつむり観察者」「クレイヴァリング教授の新発見」にとどめを刺す。おぞましさや不快感も読者にカタルシスを与え得る。著者の掌の上で弄ばれる快感と言ったら!2016/12/19

ケイ

50
サキの毒なんてただ苦いだけ…と思えるほどの本物の毒。人の底知れぬ悪意。自分よがり。悪気はないのよと装っていても、基底にあるのは自分本位。自分を見てほしい、自分のしたいようにちょっと楽しみたいだけ。それが過ぎると、どういう事になるのかしら。その考えは長編でも表れているけど、彼女の本領が発揮されるのは短編なのだと痛感。一度通読してから、二度目は過程を楽しみながら少しずつ味わう。毒だから、一気に飲みほすとやられてしまうので注意しなくちゃ。カタツムリの話だけは、生理的に読むのがきつく、二回目は飛ばして読んだ。2016/10/04

えみ

45
ブラックジョークにしておいて。人が一番不快だと感じる心理を見事押さえにかかっているイヤな11の物語。短編集でよかった、これが長編だったらたぶん途中で本を文字通りの意味で投げ出している。なかでもカタツムリの恐怖といったら…思い返すだけでも悍ましい。全ての物語は小細工なしで大胆。ただただ人が抱く感情と、そこに重なる風景をチョットずらして読者に提供しているだけ。なのに、何なのだろう。この蠢き。「ひぃぃッ」と漏れる叫びにならない叫びがこの本の栄養になっているのか、嫌悪感を喰われている。なんて錯覚してしまう一冊。2024/08/17

こばまり

43
あの映画を観て、たしか我が家にもあったはずと実家を探索し再読。11編きっちり気が滅入り、あっぱれなプロの仕事を感じさせる。そういえばこの居心地の悪さがしんどくて読むのを止めていたのだった。実家にはまだ何冊かある。さてどうするか。2025/03/14

(C17H26O4)

32
久々の再読。再読でもなかなかのインパクト。『かたつむり観察者』は特にぞわぞわしてしまう。かたつむりに閉じ込められて窒息するって…うっ…。止せばいいのに好奇心に負けて、今回初めてかたつむりの交尾、検索して見てしまった。閲覧注意ですね。ハイスミスの描写の通りでしたわ…。『すっぽん』は、少年の日頃の不満がすっぽんをきっかけに突如狂気となり、母を殺すまで至る話なのだが、狂気の決壊って実際もこんなかもと寒気を覚える。どの話も歪んだ極端な心理に端を発し、出口も救いもなく終わりを迎えるか、またはそのまま継続し続ける。2018/04/25

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