内容説明
アンカレッジ地方検事局の辣腕捜査官ケイトは、職務中に重傷を負い辞職した。それから一年、故郷のアリュート人入植地で暮らす彼女のもとに、失踪した国立公園レインジャーと検事局捜査官の捜索依頼が舞い込んだ。公園内の資源開発をめぐる対立に巻き込まれたらしい。二人の足どりを追うケイトを、やがて何者かの銃弾が襲った。極北のアラスカを駆ける女探偵ケイト・シュガック初登場。アメリカ探偵作家クラブ賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hit4papa
58
極寒のアラスカの地で、行方不明となった公園レインジャーと捜査官の消息を追う探偵(?)ケイト・シュガックの活躍を描いたミステリ。ケイトは、ある家庭内の性的暴行を瀕死の重傷を負いながら防いだものの、トラウマとなって捜査官を辞した経歴があります。故郷アラスカに帰ったケイトの目を通して、近代化が進められつつある、地方都市の苦悩が浮上がります。スノーモビルを使った捜査行や、クライマックスのハラハラシーンなど見所はあります。様々な事情を抱えた登場人物を配し、今後の展開を予感させる上々のシリーズ第一弾です。2022/09/20
sosking
8
舞台はアラスカ。やはり寒さが伴うのか北欧ものと同じく全体的に暗い印象。アラスカのマイノリティに関する事が載っていたが、この事は私は知らなかったので、勉強になった。二人の行方不明者を追って行く話しだが、結構面白かった。続編が4冊程刊行されているようなので、機会があれば読んでみたい。 2017/07/20
優
4
途中まで、アラスカもの(と私は呼んでいる、と言ってもほかはマーシャ・シンプソンの『裏切りの色』しか読んだことないのだが)の常なのか話が進まず「またか」とうんざりしたが、半分少し前から面白くなってきた/脇役がなかなか味があるので(ボビーがかなりいい)、それも救いだったかな/ボビー、ケイト、ジャックの推理場面がまたあるなら次作以後も読みたいけど、邦訳あるかまだ調べてない。ないなら原書の読みたいリストに入れておくか。2024/03/30
kemonoda
4
アラスカを舞台に先住民族アリュート人の血をひく女探偵ケイトを主人公としたシリーズ。文明とは何か?民族とは何か?のような重くて解決困難で悲劇的なテーマの上に、上質のミステリストーリーという組み立てが重層的な興味深い小説でした。 実家の本棚からくすねてきたのですが、こんなに面白いならシリーズ続刊もう2、3冊持って来ればよかったです。2017/01/22
spica
4
アラスカを舞台に、アリュート人の検事局捜査官が、失踪人の行方を追うミステリ。謎の解決というより、極北の自然と人々の暮らしが壮大で、アニマルプラネットを見ているようだった。人種差別は白人から非白人へ、という図式が典型だが、非白人のコミュニティ内でも、多民族排他の傾向があるのではないかと思えた。文化は重要だが、継承と抑圧は違う。読者側としては、知らない文化を知ることができてよかった。2016/12/24