内容説明
“悪魔の子”ルーク―自分の弟や里親の子どもを惨殺した九歳の少年は、自分が殺人を犯したことをまったく覚えていなかった。両親から受けた凄惨な性的虐待が原因で、多重人格者となっていたのだ。同じく虐待された経験をもつバークは、少年を救済し自らの過去に決着をつけるために、ルークを虐待した真の“悪魔”に罪を償わせるべく敢然と立ち上がった。自己の再生をかけたバークの熱き闘いを描くシリーズ第一期最終章。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ずっきん
75
【追悼アンドリュー・ヴァクス読書会】シリーズ6。赤ん坊を惨殺した少年ルークに対峙するバーク。自身の奥深くに容赦なく切り込んでいく、その描写たるやあっぱれ。『ビリー・ミリガン』後に大量に出回った雨後の筍的な作品とは一線を画す。児童虐待について周知させるために作家、しかもエンターテイメントに振り切ったというヴァクスの真骨頂的な作品だと思う。なぜか本作だけ刊行時に読んでいたので再読なのだが、綺麗サッパリ内容忘れてた。というか、バークシリーズ、特にこの「サクリファイス」は単発で読んだらダメじゃん。ああ、バーク……2022/01/14
GAKU
71
バークシリーズ第6作。自分の弟や里親の子どもを惨殺した九歳の少年ルーク。彼は殺人を犯したことをまったく覚えていなかった。両親から受けた凄惨な性的虐待が原因で、多重人格者となっていた。同じく虐待された経験をもつバークは、少年を救済し自らの過去に決着をつけるために、ルークを虐待した真の敵に罪を償わせるべく敢然と立ち上がる。血の繋がり以上に強い絆で結ばれた、バークファミリーが今回も熱い。好きなシリーズです。2017/05/07
くたくた
50
凄惨な虐待を受けた結果、多重人格となって赤ん坊2人を殺した9歳のルーク。ルークが受けた虐待を、バークは我が身の記憶でなぞる。ルークの扱いを巡りウルフとリリイが対立。バークはルークの両親を裁くためウルフと協力するが、法の裁きに服させることができないと分かり、ファミリーと共に私的制裁に動く。だがその結果、バークには思いもよらなかったことが起こってしまう。バークの内面の虐待された幼子の魂も危機に陥る。バークシリーズの転換点となる本作。ここから、バークは大きな負債を背負って生きて行かねばならなくなるのだ。2021/07/17
Ayah Book
15
今作もとても良かった。バークシリーズシーズン1の最終作らしい。赤ちゃんを殺害したとされる9歳のルークは、本当に悪魔の子なのか?児童虐待への怒りと悲しみが描かれた今作は、バーク自身の闇にも迫っちゃう展開でとても読み応えがある。ミシェルがいないのはちょっとさみしいけど、新顔イケメンクラレンスがいい感じだし、いつもの面々も活躍してくれる。シーズン1の最後にふさわしい内容で満足だった。続きも読みたいけど、解説に自作は濃厚なエロスの世界と書いてあったのでやや戸惑い。。。「凶手」ってやつを読もうかな。2024/08/26
daiyuuki
12
今回バークが立ち向かうのは、虐待によって多重人格者となり心に怪物を秘めたルーク。彼を通して、虐待された過去に落とし前をつけるために、ルークを怪物にした親さらなる悪に立ち向かいルークを救おうとする。愛を知らないルークを救うために、バークの仲間がルークに子犬を世話させたり多重人格を統合する診療を行うなどの描写が、血の繋がりを超えた強いファミリーの絆を感じて、ハードなストーリーに救いを感じさせる重要な要素になっています。2014/10/08