内容説明
モース主任警部は不摂生がたたって入院生活を余儀なくされることになった。気晴らしに、彼はヴィクトリア朝時代の殺人事件を扱った研究書『オックスフォード運河の殺人』を手に取った。19世紀に一人旅の女性を殺した罪で二人の船員が死刑となったと書かれていたが、読み進むうちモースの頭にいくつもの疑問が浮かび…歴史ミステリの名作『時の娘』を髣髴させる設定で贈る、英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー賞受賞作。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
82
【モース主任警部シリーズ】第8弾。胃潰瘍で入院したモース警部が、100年前に起きた美女殺人事件に興味を持つ。いわゆる安楽椅子探偵、病床思考型ミステリであり、モース版「時の娘」と聞く。とにかく事件当時の関係者が全て死亡しているので、モースのいつもながらの妄想推理も、気楽に聞けるのが良い。ミステリと言えば、探偵を通して得られた情報から、真相にたどり着く事を目的にしている。しかし、このシリーズは探偵役のモースが、この情報からどんなトンデモ推理をするのかを、予想して楽しんでいる。ラストに、不満がない理由であろう。2021/06/14
ばう
50
★★★日頃の不摂生が祟って入院したモースが興味を持ったのは100年以上前にオックスフォード運河で起こった殺人事件。あれっ?モースってこんなにちゃんとした人だったっけ⁉︎(失礼)『キドリントンー』では清濁合わせ持つ(濁多め)みたいな印象だったけど「濁」の部分が物凄く薄まって知的なおじさまという感じ。けれど相変わらず妄想でどんどん事件を解き明かしていくところはやっぱりモース主任警部でした。個人的には比較される『時の娘』より面白かったです。2018/06/03
本木英朗
26
英国の本格ミステリのひとりであるコリン・デクスターの9番目の長編が、この作品である。俺は1997年、2006年にそれぞれ一回ずつ読んでいた。というわけで3回目となる今回であるが、やはり非常に面白かったなあ。というか、2回目の時と違って全然分からなかったよ、うふふ。モース主任警部は不摂生がたたって入院生活を余儀なくさせることになった。気晴らしに、彼はヴィクトリア朝時代の殺人を扱った『オクスフォード運河の殺人』を手に取った……という話から始まる。さすがデクスターだよね。他の長編もまた読みたくなってくるよねえ。2019/10/15
そのじつ
26
酷暑で疲れ気味だけど小説が読みたい・・そんな時にもピッタリなモース警部シリーズ。モースの中年哀歌極まれり。頭髪とメタボ腹のみならず、ついに入院も体験。自分にもいつか死が訪れることを初めて意識する。・・・順調に中年の階段のぼってます(ToT)大部屋患者の一員となったモースのもとへ何冊か本が舞い込(この顛末がまた愉快)み、彼は100年前に起こった美女殺人事件の記録へと没入してゆくのだった。居場所を病院に移しても、ルイスはいい仕事をしてくれるし、お約束のロマンスだってある。白衣の天使と患者の、病院コントが展開。2018/08/23
Ribes triste
19
ついに不摂生が祟り、モース警部入院す。この展開は「時の娘」かと思いきや、ワガママなモースなので、当然ながらルイスが巻き込まれる。相変わらず看護婦さんにまでモテモテで、モースがちやほやされすぎだけど、謎解きの方は面白く読みました。2021/06/02