内容説明
サンタ・テレサから車で1時間半の町フローラル・ビーチにやってきたのは、17年前の殺人事件を調査するためだった。依頼人は70過ぎの老人で、恋人殺しの罪をかぶりながら長年逃亡していた息子が、最近再逮捕されたのだった。老人は息子の無実を信じており、裁判の前に、隠された事実をつきとめてほしいというのだ。わたしは当時の新聞記事と町に残っている関係者の証言から事件に秘められた真実に迫ろうとするが、その矢先、逮捕された息子が再度逃亡をはかった。過去の痛ましい出来事を掘り起こす女探偵の孤独な姿。話題のシリーズ第6弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
84
【キンジー・ミルホーン】シリーズ第6弾。17年前に、フローラルビーチで17歳の少女ジーンが殺害される。犯人として逮捕されたベイリーは刑期の途中で脱獄し、17年他人の名前で真面目に生きて来たのだが、遂に再逮捕された。彼は殺害を否定し彼の父親は、キンジーに無罪の証明を依頼する。池袋の暴走事件の様に、都合の良い結末に納めたい人々は存在し、虚しさを感じる。愛情の形は人各々だろうが、相手に通じなくては歪みを起こす原因になるのかと思うと、これまた辛い現実だ。幾つもの推理が必要だが、犯人の意外性も見つけ方も中々巧い。2020/12/15
bapaksejahtera
13
キンジー第6作の依頼人は癌に罹っている老人。彼の息子は10代の時に友達であった娘を殺害し、その罪を認めて収監されたが脱獄。その後暫く別人として社会生活を送っていたが、ある時身分詐称がバレると共に再収監となっていた。老人の依頼は、息子の無罪を証明して欲しいという物。彼女は闘病の老人が久々の愛息の出現に再び生きる喜びを感じているのを見て、無理筋乍ら調査に当たる。老人一家は皆癖のある性格で、主人公は勿論読者も疲れる作品。狭い街での殺人事件。身近な所に犯人がいたのだが、余りピンとくる作品ではなかった。2023/07/13
じょじょ
2
少しがっかり。話を広げ過ぎて最後駆け足になってたし だらだらといらない部分が多くて途中読むのがしんどかった。次に期待。2018/05/29
b-tamn
2
ままならない現実から逃げるために妄想に走ることはよくあることだが、妄想と現実 は別物だということを自分に言い聞かせないととんでもない事になるという例。父親から、自分が望む愛情を得られなかった娘たちがせつない。2016/10/01
かわけい
2
舞台はサンタ、テレサから車で90分にある人口1000人ほどの町フローラルビーチである。17年前に17歳の美少女が海岸で死体で発見された。ほとんど風化された殺人事件の真相の解明を依頼してきたのは犯人とされてきた青年の父親だ。父親はがんを患っていて残された時間は多くはない。息子の無実を証明したいのだ。キンジーは田舎町の人間関係の複雑さの中で少女はなぜ死ななければならなかったのかを探り出す。少女の複雑な家族関係に自分の生い立ちを重ねながら愛情の形の複雑さ、多様さを感じながら家族のきずなとは何か考えさせてくれます2015/03/21