内容説明
ミステリ愛好会「猟犬クラブ」の会員が世界最古の切手窃盗の疑いをかけられた。身に覚えのない嫌疑をかろうじてはらした男が自宅に戻ると、そこには会員の一人の死体が。しかも部屋は完全なる密室状態だった!海千山千のミステリ・マニアを相手に繰り広げる警視ピーター・ダイヤモンドの推理が冴える。前作『バースへの帰還』につづき、二年連続で英国推理作家協会賞シルヴァー・ダガー賞を受賞したシリーズ屈指の傑作。
著者等紹介
山本やよい[ヤマモトヤヨイ]
同志社大学文学部英文科卒、英米文学翻訳家
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感想・レビュー
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mayumi
29
ピーター・ダイヤモンドシリーズ。シルバー・ダガー賞受賞。納得の面白さ!価値のある切手の盗難と船で起きた殺人事件がリンクし、ダイヤモンドは殺人を、ウィグフルは盗難を捜査する。殺人の被害者は猟犬クラブというミステリ愛好会のメンバーであり、密室で他殺体として発見された…というストーリー。とにかく猟犬クラブのミステリに関する蘊蓄が楽しい。カーの「三つの棺」は是非読まなければ。犯人は何となく怪しいかなと思っていた人物だったけれど、繋がりまではわからなかった。メンバー達のその後が気になる…。2020/07/12
Ribes triste
23
ダイヤモンド警視シリーズ。ミステリ愛好家が集う「猟犬クラブ」を舞台に起こる事件。ミステリネタをこれでもかと突っ込み、カーの密室談義まで登場。ぐるぐると読者を引きずりまわして、そうきたかの展開。面白かったです。強面のダイヤモンドを手のひらで転がす奥様ステファニーが素敵です。2020/07/16
鐵太郎
17
楽しいミステリです。ミステリとしての基本はきっちり踏まえていますし、殺人トリックにも隙がない。捜査方法も現実から一歩も飛んでいません。しかし、ミステリ・ファンとか、昔のミステリ黄金期のパロディとか、あちこちをおちょくった笑いのネタがてんこ盛りです。密室殺人のトリックなどは、カビが生えたネタのはずなのに面白い。ダイヤモンド警視の偏屈で自分勝手な暴走は、シリーズのもっと前を読まないとしっくりしませんが、このキャラ付けは楽しい。もっと読んでみたくなりました。2010/01/20
そーいち
13
良質なミステリーを書く作家のイメージであるラヴゼイ、初読み。古典ミステリを十分に皮肉った中で堂々と密室トリックを出してくるあたりは流石。また癖の強すぎる猟犬クラブのメンバーはクリスティーの物語を思い起こさせる。カーの密室講義を鼻で笑ったうえで出してくる密室はシンプルながら気の利いたトリックで感心した。その本格さに加えて警察捜査小説の趣きもきっちり出してくるのが人気たるゆえんだろう。主役のダイヤモンドは頑固ながら真摯に事件と向き合う姿勢に好感が持てる。そして犯人の異常性も中々である。2023/06/01
おくちゃん
13
ダイヤモンド警視シリーズ、私にとって2冊目。このシリーズはグイグイ読ませますね。山本やよいさんの翻訳が良いのでしょう。密室のカラクリあり登場人物の意外な過去あり。楽しめました。2021/03/17
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