内容説明
なくなったのは、チョコレートケーキと板チョコが二つ。他には何も盗られたものはなかった。だが、だれかが家に入りこんだのはまちがいない。灰皿には吸殻が山盛りだし、家具の位置もちがっている。しかも、その後も、アイリーンが家をあけるたびに、見知らぬだれかが家で週末を過ごしているのだった。そしてある日、アイリーンは、クロゼットの園芸用長靴の中にマリファナがつっこまれているのを見つけたのだが…泥棒と家主との奇妙な交流を描いた上記「映画ベストナイン」をはじめ、犯罪にまつわるユーモラスな出来事を綴った14篇を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くさてる
8
犯罪にまつわるユーモラスな出来事を扱った海外ミステリアンソロジー。ユーモラスといっても、かなりブラック寄りですが、そこが面白かった気がします。アクの強い女性二人の対決がスリリングな「画商の女」(スタンリイ・エリン)、題名がすべてを物語って後味も良い「なにごとも運次第」(トニタ・S・ガードナー)、苦境に陥った老教師を思わぬ形で救った特技とその結果を描く「天は自ら助くるものを助く」(セルマ・C・ソコロフ)などがとくに印象に残りました。2015/09/25
koo
7
MWA短編集シリーズ10作目、ユーモアミステリを集めた作品集。選者はフレッチシリーズのグレゴリーマクドナルド。痛快な落ちのあるからっとした作品もありますが毒が強い作品も多いのがちょっと残念。スタンリィエリンの「画商の女」ホックの「いちばん危険な人物」ヘンリイスレッサーの「光る手」初読み作家ではジェフリーブッシュの「李唐の問題」が切れ味があって良かったです。毎度ながらホックの打率の高さには感心させられます。同じ趣向の作品も併録されているんですが完成度が違いますね。2024/04/08
madhatter
2
再読。大体のところ、題名通りの作品を集めたアンソロジー。但し「愉快」という言葉には、かなり広い含意があって、例えばそこには「ざまあみろと思う」「みっともないと嘲笑う」といった如きの、あまりおおっぴらにできない感情が含まれていることが多い。その辺りを十全に汲んだセレクションになっているので、人によっては不快になる作品もあるかも知れない(私は概ね楽しんだが←性格悪し)。お気に入りは「慰問カウンセラー」「映画ベストナイン」「執事クラブ始末」「天は自ら助くるものを助く」。2012/03/25
ヤボテン
1
ちょうどいい塩梅。2013/06/24