内容説明
全世界で今なお熱心なファンを持つ名探偵シャーロック・ホームズは、1887年、アーサー・コナン・ドイル卿の手によりこの世に生を受けた。それから百年余。現在までにあまたのパロディ、パスティーシュ、研究書が書かれ、ホームズを模した探偵も数多く輩出した。一人の探偵に対し、これほど多くの書物、作品が書かれた例は、他に類がない。本書はそのホームズの生誕百年を記念して出版された書き下ろしアンソロジーである。現代の人気作家15人の才筆で、不朽の名探偵が、霧にけぶるロンドンに、現代のニューヨークに復活する、ファン必携の書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
本木英朗
13
シャーロック・ホームズについて英米作家が集まってできたのが、本書で、自分は7回目かな。いやー、本当にすごいよ、うん。例えば「幽霊の部屋」(アラン・ルース)では、ホームズのところでミセス・ファーリントンという女性がやって来て、自分の大叔母さんが何やらおかしいのだが、という。ホームズはワトスンと二人でそのところで行くのだが……という話だ。「芝生の影」(バリー・ジョーンズ)では、ドクター・エイガーが出てきて、彼の患者のピーター・ウェインライトが何やら数日前からおかしくなっているのだが……という感じである。2019/04/08
ホームズ
11
どの短編もそれなりに楽しめると言った感じですね。特に飛びぬけて面白いのがあるわけでもなく普通の作品です(笑)作者も読んだことの無い人ばっかり、エドワード・D・ホックくらいしか知りませんでした(笑)まあシャーロック・ホームズの世界をあまり壊す感じの作品が無かったのは良かったかな(笑)2010/09/15
二葉
9
内外のアンソロジーも、結構な数になったので整理がてら再読中。変化球より真っ当な贋作の方面白かった。車の構造に詳しいホームズが新鮮2020/08/31
鐵太郎
9
ホームズ譚が世に出てからちょうど百年後の1987年に編まれた正統派のパスティーシュ短編集。約30年ぶりの再読か。知っている作家知らない作家いろいろで、多少のでこぼこはあるけど良作揃いと言っていいかな。「まだらの紐の復活」が秀作。「芝生の影」って別なアンソロジーで読んだかも。最後の「ワガナス誘拐事件」は女性版ホームズ(もどき)なのだけど、設定を捻りすぎてないか。下巻はどうだったかな。2018/10/05
ぽま
8
一定水準以上の質を保った作品ばかりなので、安心して読むことができた。オーソドックスな作品が大半の中、若干の異色作なのが『シャーロック・ホームズと「あの婦人」』と『ガワナス誘拐事件』。前者ではアイリーンの本当の姿として、実在の人物であるリリー・ラングトリーが登場(彼女の扱いは、少しガイ・リッチー版映画に近い?)。後者は(明言は避けているが)ホームズとアイリーンの曾孫と、ワトスンの名を持つ少年の物語で、舞台は現代。個人的なお気に入りは、ホームズがホームズの変装をする(!)、『最後の乾杯』。2012/08/27