内容説明
新旧監督交替の夜、オペラ座に新しい歌姫が誕生した。クリスチーヌ・ダーエである。が、華やかな舞台の裏では、大道具主任の首吊り死体が発見されていた。さらに、鍵のかかった監督室に次々と奇妙な脅迫状が届けられ、それはやがて、公演中のシャンデリアの落下という大惨事と、舞台上からのクリスチーヌの消失という不可解な事件へと発展したのだった…だれもが“怪人”の仕業だと囁いた。だが、“怪人”とはいったい何者なのか?そしてその目的は?世紀末オペラ座の奈落にあやしく、そして哀切に展開する伝奇ロマンの傑作。新訳決定版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
65
再読。多数訳されている名著であるが、日影丈吉訳という事で本書を手に取る。何か読んでいる間中、あのテーマソングが頭から離れないなあ。怪人の噂、落下するシャンデリアを始めとして、怪人の孤独と憂愁や男女二人の愛の行方等見どころしか無いのだけど、本当に着目すべきなのはオペラ座自体かな。秘密通路あり過去の遺跡ありと華やかな建物を神秘の大伽藍に仕立て上げたのは流石の一言。建物自体が主人公のようなこの感じは、ゴシック小説を思い出させるなあ。 読んでいると主人公たちと共に、迷宮を彷徨うような心地のする一冊でした。2023/04/18
藤月はな(灯れ松明の火)
17
角川文庫、東京創元社文庫の訳文を思い出しながら再読。やっぱり、日影丈吉氏の怪奇性と怪人の狂気と紙一重である真摯さと悲愴を引き立てるクラシカルな訳文が好きです^^2011/09/15
藤月はな(灯れ松明の火)
16
己の持って生まれてしまった容貌の醜さに孤独であらなければならなかった怪人が愛した人のために犯罪を犯し、その容貌の醜さで愛する人からも忌避されてしまう怪人の狂おしいまでの愛に心が切なくなりました。怪人の望みはただ、普通の人のように妻を持ち、暮らしたかっただけだったのに彼の思いは叶わない。最後にクリスチーヌが彼に言った言葉が本心であってほしいと心から願わずにはいられません。読了後、怪人の心情を思いやると涙せずにはいられませんT-T2010/08/09
Book Lover Mr.Garakuta
11
お芝居とかミュージカルとか詳しくないですが。読み物としては面白くて、定番文芸作品だ。面白くて涙が出ました。2019/06/06
♪りんまま♪
8
物語に入り込むって感じではなく、舞台を観ているような距離感。ちょっと読みにくいけど、これもまた良し。それにしても~ラウルがどうしようもなく頼りないんだけど、クリスチーヌは彼を選んで良かったのかしら。2015/01/30