内容説明
ドートマンダーにとっては不愉快きわまりない仕事だった。不幸を運んでくる男、相棒のケルプがもちかけたのは、よりにもよって墓泥棒。夜中の墓地に忍びこんで死体を棺桶ごと掘りだし、別の死体入り棺桶とすり替えるという仕事だ。依頼してきたのは胡散臭い二人組。どうやら大掛かりな詐欺を企んでいるらしい。一枚噛もうとしたドートマンダーだが、やっぱり不幸の連鎖が彼を、そして一味全体にも襲いかかったのだった。
著者等紹介
ウェストレイク,ドナルド・E.[ウェストレイク,ドナルドE.][Westlake,Donald E.]
1933年ブルックリン生まれ。デビュー当初は『やとわれた男』に代表されるハードなクライム・ノヴェルで注目され、のちにはユーモア・ミステリへと作風をひろげ、映画やTVの脚本家でもあり、近年はブラックな味わいの作品を連発するなど、幅広い芸域をもつ。さらには『悪党パーカー』シリーズのリチャード・スタークや、ハンディキャップ・ヒーローの先駆ともいえるミッチ・トヴィン・シリーズのタッカー・コウらが、じつはウェストレイクと同一人物であるので、1993年の巨匠賞などアメリカ探偵作家クラブ賞を四度も受賞しているのも、当然といえよう
木村二郎[キムラジロウ]
作家、翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゃお
26
〈ドートマンダー〉シリーズ再読キャンペーンその⑨ 今回ケルプが持ち込んできたのは、墓に眠る棺桶をすり替える仕事。そこからアナスタシア詐称詐欺のおこぼれをあずかろうというお話に。計画が順調に行き過ぎて不満そうなドートマンダーが、ついに自分の本来の仕事である泥棒ができるとなった時の喜びようといったら(笑)。詐欺を働く一味の裏をかく様子も子気味よく、登場人物の掛け合いもいつも通り楽しい。最後の最後で不運がやってくるあたりもこのシリーズらしくて良かったです(笑)。2025/04/08
キーにゃん@絶対ガラケー主義宣言
10
ドートマンダー、なんと『ホット・ロック』から30年!!でも!安心してください!!相変わらずです(笑)。しかーし!本書2006年発行ではないか!?やだ〜10年も気づかなかったなんて…(-_-;)やだ!10年も初刷りのままだなんて!?日本の読書人はどうなっているんだ!ドン!!ハアハア…二郎さんは残りのシリーズを私の生きているうちに翻訳するように。2016/01/15
J・P・フリーマン
9
悪友ケルプが持ってきた仕事は、なんと墓を掘り返して棺桶のすり替えを行うものだった!一晩千ドルの仕事のために気が進まないながらも、引き受けたドートマンダーだが、仕事の後に依頼人と決裂してしまう。依頼人は詐欺グループで、ドートマンダーたちもその計画に噛ませてもらうことになるが、泥棒の出番がなくドートマンダーはやる気をなくす。それでも的確なアドバイスを送るドートマンダーはさすがだなという感じです。最後に本業の出番がやってきて、鮮やかな手並みで目的の品を盗み出す。この珍妙な計画の全容を知りたいなら是非読んでみて。2019/09/03
風太郎
9
イベントで読んだ本です。読んでる途中で病気になったり、イベント期間を大幅にオーバーしたりと散々な目にあいましたが、なんとか読み終えました。海外の作家さんの本を読むと、日本のものとは別の空気が作品の中にあって、そこが面白かったですね。この本はシリーズもののようですが、シリーズの後ろの方ならしく、登場人物の把握に手間取りましたね。最初の方を選べればそんな苦労もなかったのかな。2018/09/22
暴走妄想族
8
お墓を掘り返したり埋めたり、墓石を取り替えたり、とにかくこの悪者たちはジッとしていられない。でも間抜けそうに見えて、チームワークはしっかりしていて確実に仕事をこなすのだが、努力のわりに結果が上手くいかないところが、なんだか愛おしい。他の作品も読んでみたい。2016/01/04