内容説明
お金をたくさん持ち、女性をたくさん口説く―型破りな人生をおくる伝説的な親戚、オズワルド叔父から、甥の私におびただしい量の日記が届いた。遺産と称して送られてきたそれらに書かれていたのは、国から国を渡り歩き、女性を虜にした手練手管の全貌。興奮してその一つを読んでみると、叔父は砂漠地帯でさえ美女を見つけ…退屈な日常にエロティックなうるおいを。甘い吐息が匂ってくる、超絶艶美な作品集。4篇収録。
著者等紹介
ダール,ロアルド[ダール,ロアルド] [Dahl,Roald]
1916年英国南ウェールズのカーディフ生まれ。1946年に最初の短篇集『飛行士たちの話』を発表。1953年には『あなたに似た人』を発表しアメリカ探偵作家クラブ賞短篇賞を受賞した。その後も『キス・キス』『来訪者』などの短篇集を発表し、短篇の名手として知られる。また、映画“チャーリーとチョコレート工場”の原作を書いたことでも知られ、“007は二度死ぬ”の映画脚本も手掛けた。1990年死去
田口俊樹[タグチトシキ]
1950年生、早稲田大学文学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェルナーの日記
168
著者ダールの短編4篇から編まれている。男女の情事の機微をダール風ジョークで味付けが施されている。ぶっちゃけ下ネタのオンパレードで、まるで筒井康隆の『日本列島七曲り』を髣髴する作品(これほどまでにドキツクないけど)。本作だけを読むとダールという人物は、よほどの”女嫌い”か、女性に対する偏見を持っているように感じるが、実際は真逆でとても愛妻家だった。2度のど結婚しているが、前の奥さんが重度の病に倒れたとき、すでに再婚しているにもかかわらず頻繁に彼女の看病をしたとか。流石はジェントルマンの国に生まれたお人だ。2017/08/28
絹恵
51
忘れるために旅をしていたはずなのに、溢れてくることはやり残したことばかりでした。そしてあの夜に、砂漠の中心で砂の女を待っていたのは紛れもなく彼自身でした。白昼の渇いた心に深夜の濡れた熱が覆い被さっても、満たされることがないのは、諦観交じりの冷静さを持ち続けたからだと思います。それでもこの寒気は発熱の前兆で、情欲の引き金だから。2015/10/12
巨峰
46
エロス&ビターな短編集。「来訪者」「夫婦交換大作戦」「やり残したこと」「雌犬(ビッチ)」の4編。スィート&ビターじゃなくて、エロチックで最後は苦い味わい。大人のチョコレートみたいです。とはいっても官能の具体的な描写はないから、そこは自分の経験値で埋めるしかないというww2つ目と4つ目の大がかりなエロちっく作戦とか昔のピンク映画とかの筋みたいですw2016/02/23
空猫
29
ほぼ児童書ばかり読んできたダール作品。この本はエロ話でまず面食らった。最初の『来訪者』で登場する叔父のオズワルドは一度寝た女には興味をなくすというどこかで聞いたような女たらしで成金で嫌な奴だがホラ話としては一級品だ。彼は最後の『雌犬』にも登場する。オチにクスリとさせられた『夫婦交換大作戦』よくある話とも言えるか。笑えないのは『やり残したこと』このラストは後味悪い。一番ダールらしいとも言えるのだが。ともかくこの新訳は読みやすく嬉しい限り。2018/01/02
のせ*まり
28
思ったよりも下ネタ満載。最近下ネタが入る本ばかり読んでるなあと思ってたら、アメリカ文学漬けだったからか!!(偏見)ダールらしく、自分の策に嵌まった人間のお話。ダメ人間なのに憎めないのは大人の本になっても同じだなぁ。ある意味大人のための童話という印象。結局はすべて自分に返ってくるのね、くわばらくわばら。2017/03/07
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