感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まふ
83
「航空冒険小説」というジャンル。「男の夢、冒険、アクション、ロマンス、サスペンスすべてが1冊に盛り込まれている」との解説通り、一気に読み切り痛快感を味わった。最後まで息をつかせぬ活劇が続く。カリブ海で輸送業を営んでいる朝鮮戦争の生き残りのイギリス人パイロット、キース・カーが、ハリウッドの大スターの製作する映画への参加を依頼されたが、それはカリブのレプブリカという国のクーデターを応援する目的も兼ねていた…。キースのクールなハードボイルド的言動が読者をしびれさせる。いやあ、痛快だった。推理100。2023/01/18
鐵太郎
20
パイロットである私ことキース・カーは、南米の楽園で西部劇もどきを撮ろうという映画スターに雇われ、運送業務を引き受けます。ジョン・ウェインを下敷きにしたであろうこの映画スター、はたして本当にただの映画撮りが目的なのか。謎はそれほどはありませんが、陰謀の中の陰謀、奇妙奇天烈なアイディア。デ・ハビランド・ダブとデ・ハビランド・バンパイア。握手をしないパイロットとパイロット。レンガで戦争はできるのか。サスペンス、そしてアクション。ライアル節、いいなぁ。シニカル分が少し薄いのは、舞台のせいかな?(笑)2005/02/27
Kajitt22
14
映画のロケ撮影に中米の革命をからませた、航空機ミステリー。今回は旅客機デ.ハビランドDH104ダブとバンパイアジェット、そして古い爆撃機B25ミッチェルが登場。調べるといずれもその時代の魅力的なフォルムだ。そして物語は、その飛行シーンがハイライト。荒っぽい展開ながら、元英空軍パイロットの緻密で的確な操縦描写や気象判断が読ませる。行間から風圧を感じるほどだ。空を飛ぶ夢を見なくなってどれほどだろう。この一冊でかなり堪能しました。2016/06/07
ホレイシア
11
飛行機、特に戦闘機のたぐいはここまで使い込まれるのだなーと実感。満足♪。2009/01/10
羊山羊
10
ハヤカワのポケミス版で読了。ウィットモアの豪儀さと、好敵手ネッドと主人公キースのひりつくような駆け引きが、作品全体に漂う空気をガッツリと引き立てていて面白い。後半になればなるほど呑まれるようにページが進む1冊。「深夜プラス1」でもそうだったけど、ラストがすごく余韻に残るラストというか、寂寥感の漂うラストになるのはライアル氏のお約束なのだろうか? 良い雰囲気で終われて満足。2015/06/23