出版社内容情報
メグレが尾行した不審な男が拳銃で自殺した。事件の陰にちらつく異様な首吊男の絵の真相とは。シリーズ初期の傑作が新訳で登場!
内容説明
駅の待合室で不審な男を見かけたメグレは、男が大事そうに抱える鞄を自分のものとすり替え、彼を尾行し始める。だが、男は鞄がすり替わっていることを知ると、苦悩の表情を浮かべ、拳銃で自殺してしまう。驚いたメグレは鞄を確かめるが、入っていたのは着古された洋服だけだった。奇妙な事件の捜査に当たるメグレは、男の哀切な過去と事件の陰にちらつく異様な首吊り男の絵の真相へと近づいていくが…。
著者等紹介
シムノン,ジョルジュ[シムノン,ジョルジュ] [Simenon,Georges]
1903年、ベルギーのリエージュに生まれる。1921年にAu Pont des Archesを発表し、作家デビュー。1922年にパリへ移住し、多くのペンネームを使い約200点の通俗小説を出版しながら、小さなヨットでヨーロッパ中を回り、1931年からは、彼の作品を代表する“メグレ警視”シリーズの連続刊行を開始。その後も“メグレ警視”シリーズや“ロマン・デュール”と呼ばれる純文学よりの作品を数多く執筆し、フランスを代表する作家として高い評価を受ける。1989年、ローザンヌの自宅で死去。享年87
伊禮規与美[イレイキヨミ]
東京外国語大学外国語学部イタリア語学科卒、フランス語翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
65
出張先のベルギーで不審な男を見かけたメグレ警部のちょっとした小細工のせいで、男はピストル自殺。しかも、詐欺師だろうと推察していたその男は、詐欺師ではなかった。ならば、男はなぜ不審な行動を取り続け、自殺したのか。後味の悪いメグレ警部が男について調べ始めると、今度はメグレ警部の周辺でも不審な出来事が起こり始める。己れの才能を信じ夢と希望にあふれていた青年たちに起こった悲劇を暴くという話だが、そのもっていき方の妙。2023/07/02
本木英朗
34
フランスの本格ミステリ作家のひとりである、ジョルジュ・シムノンの長編のひとつである。俺は実は今回が初めてだ。駅の待合室で不審な男を見かけたメグレは、男が大事そうに抱える鞄を自分のものとすり替え、彼を尾行しはじめる。だが、男は鞄がすり替わっていることを知ると、苦悩の表情を浮かべ、拳銃で自殺してしまう。驚いたメグレは鞄を確かめるが、入っていたのは着古された洋服だけだった――という話から始まる。何と210ページくらいの長編だが、それでも面白かった! さすがはメグレ、そして作者である。またいつか読もうっと!2023/09/26
だるま
18
『メグレと若い女の死』に続く、新訳版の第2弾。本書はシムノンの初期の傑作の1つらしいが、私には合わなかった。これが傑作なら、シムノンはもう充分だなと思う位。メグレ警視は推理らしい推理をしないし、最後はメグレの説明で無く、自白で真相が明らかになるのが興醒めだった。その真相の物悲しさはちょっと胸に染みて良かったけど、それ以外は感心出来ず。最も酷いのは冒頭で、メグレのある行動によって男が自殺してしまう。殆ど自殺補助じゃないの。彼はメグレの前で特に悪い事もしていないのに。斬新な展開とも言えるが、納得出来なかった。2023/06/26
うーちゃん
17
新訳メグレ警視。瀬名秀明さんによる綿密な解説によると、シムノン最初期(28歳ぐらい?)の長編だそうだが、この老練ぶりはどうだろう。シムノンは父親ぐらいの年齢の主人公・メグレを、その内面まで完全に描き出すことに成功している。良いんだよなーメグレ。ジャップもフロストもコロンボも大好きだが、部下として働くなら絶対メグレだよな(笑)。"牛のよう"という比喩が作中でも使われているが、彼は牛のような見た目の下に虎を隠していて、その鋭い観察力と追跡能力で、事件を解き明かしていくのである。ラストシーンも素敵。2023/07/07
Urmnaf
16
メグレ警視シリーズ第一作(諸説あり)。メグレがブリュッセルで出会った不審な男。後をつけていくうち、なんの気無しに(おいおい)男のトランクをすり替えたメグレ。ブレーメンの宿でトランクがすり替えられたことに気づいた男は、その場で拳銃自殺をしてしまう。しかし、男のトランクには古ぼけた服が入っているだけだった。罪の意識もあって(それゃそうだろ)、男の正体を調べていくメグレ。なんとも強引な話の展開。らしいっちゃらしいか。2023/08/25
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