感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
63
カーター名義の第1作目となります。幽霊がでると噂の弓弦城、主のレイル卿は甲冑の収集に熱心で甲冑室まで造っていた。しかし、ある日密室状態の部屋で、卿の絞殺死体が発見される。作者得意の密室であり、そのトリックの考え方は、やはり盲点をついた中々の物だと思います。ですが、問題点が多い作品にも感じます。先ず、城内の図面が無いため、読み直しても正確に把握したのか解りません。次に探偵役の人物が、つまらなくて印象が薄く説得力に欠けます。更には目撃者の証言に、ズレが在る様に思います。よって解答が納得が出来なく、残念です。2016/03/24
Kiyoshi Utsugi
32
英国博物館長でモードリン大学の講師でもあるジョージ・アンストラザー卿とその友人でケンブリッジ大学の教授であるマイクル・テヤレイン博士が、弓弦城を訪れた日に主人であるヘンリイ・スタイン(レイル卿)が密室である甲冑室で殺されます。 すぐに浮かんだ容疑者は、娘のパトリシア・スタイン。 妹思いのフランシス・スタインは犯罪学の権威でえるジョン・ゴーントに捜査への協力を依頼します。 密室殺人の権威であるカーター・ディクスンの作品だけあって、さすが面白かったです。 こちらもマイブームになりそう。😅2022/05/04
geshi
31
カー作品の面白さって探偵役のキャラによる所が大きかったんだなと確認できてしまうほど、ジョン・ゴーント博士のキャラが弱く、もったいぶって出てきた割に普通の探偵。読者視点にあるテヤレインも、もっと事件に深入りして、いっそのことパトリシアに片思いするぐらいまでいかないと、エモーションが足りない。トリックはシンプルな発想の転換を起点としていて、アイデアはとても良いのに、古城の見取図が無くて位置関係がハッキリしていないから、ダイヤの原石を埋もれさせてしまっている。2018/05/03
星落秋風五丈原
30
フェル博士もメリヴェール卿も登場せず。妻を亡くして以来酒浸りのジョン・ゴーントという犯罪学の権威が探偵役。城の持ち主もその家族も相当変。密室殺人で容疑者は唯一まともと思える娘だが娘はもちろんやっていない。ならば誰が?2021/08/14
Tetchy
16
う~ん、冗長すぎるなぁ。まず物語がイメージとして頭に入り込まない。これは作中でも出てくる城の見取り図がこの小説で示されないことによるところ大きく、大いに問題だ。謎解きもこの見取り図がなければ、作者が語るがままに頷くしかなく、全くカタルシスが得られない。捜査も回り道が多く、なかなか一向に進まない。唯一の救いは初期の作品からして、カー独特の語り口と物語設定とオカルト趣味が垣間見えたことか。2009/10/08